ECサイトのプロモーションにも使える インスタ映えする写真の撮り方

ECサイトのプロモーションにも使える インスタ映えする写真の撮り方

有名な景色や、ちょっと可愛いドリンク・デザートなどを撮影し、インスタグラムに載せている方は多いのではないでしょうか。
インスタグラムに投稿した写真に「いいね」やコメントをもらいたいとき、多くの方は写真がいかにおしゃれに・見栄えよく見えるか、つまり「インスタ映え」を多少なりとも意識するはずです。
最近はインスタグラムを運営しているECサイト・ショップ様も少なくないため、今回はプロのカメラマンとして、インスタ映えする写真の撮り方について解説します。

はじめに

「インスタ映え」と言われる写真には、被写体そのものが可愛かったり美しかったりと、写真の腕やカメラを扱う技術関係無しに良く撮れてしまうものも中にはあります。

インスタ映えする写真の撮り方-被写体について

前述したように撮影技術はなくともインスタ映えする写真が撮れることはあります。
しかし被写体つまりECサイトにおける「取扱い商品」は全てがインスタ映えするものではありません。

とは言え、被写体が重要であることも事実です。
この章では、まずはインスタ映えする被写体について、お話ししたいと思います。
最近はインスタグラムを運営するECサイト・ショップ様も多いかと存じますので、是非ご参考になさってみてください。

さて、「インスタ映えする」と言われる被写体の中でも、個人的にオススメしたいものは以下の2つです。

1.国内外にある名跡や自然環境が織りなす景色

ただし行きやすいスポットは既に色々な方が撮影・公開しているので、そのような場所でインスタ映えする写真を撮影したからと言って、必ずしも注目を集める事はできません。
ですので、「いいね」やコメントをたくさんもらえるような景色を撮りたいのであれば、まだあまり知られていない隠れた絶景スポットなどを見つけると良いでしょう。

隠れた絶景スポットを見つける
隠れた絶景スポットを見つける

2.奇抜・お洒落なデザートなどの飲食物

有名なパティシェが手掛けたデザートや、彩り鮮やかに盛り付けられたフルーツ、見た目の奇抜な飲料などもオススメです。
他にも草津温泉プリンのように何か加えることで色が変化していくような商品を取り扱っているのであれば、変化の過程やそれに伴うワクワク感まで写真で伝えることができたら、より多くの方から興味・関心を集められるでしょう。

これらを撮影してインスタに載せた結果、これまであなたのECサイトを知らなかったフォロワーの方々にも認識してもらえるかもしれません。

お洒落なデザート
お洒落なデザート

インスタ映えする写真の撮り方-撮影技術について

以前別の記事でも触れましたが(以下の記事を参照)、写真撮影について多くの方々が誤解している事がいくつかあります。

<写真撮影について、多くの方々が誤解していること>

 

  1. 綺麗な写真を生み出す一番重要な要素はレイアウトと光にあること
  2. ウェブ上に掲載する写真において、画素数は重視しなくていいこと
  3. スマホカメラ、特にiPhoneのカメラの能力は皆さんが想像しているよりも高いこと

実際つい先日も、私が定期的に参加している交流会にて彩り豊かな料理が振る舞われたのですが、そこで隣の方がこうおっしゃいました。
「私の携帯カメラじゃ綺麗に撮れないわ・・・やっぱり貴方みたいにそうやって一眼レフで撮影するべきかしら?」
私はこう聞かれて、上記3点を掻い摘んで説明しました。

即興でも作れる!?レフ板の作り方

さて、分かりやすく、カフェでスイーツの写真を撮影するというシチュエーションについてお話ししたいと思います。

綺麗な写真を撮影する為には光が一番大切だと前述しました。
良い光を得るために、席は出来る限り明るい窓際に座るように心がけましょう。
さらに、可能であれば左から太陽光が入るような席どりをするとベストです。

なぜなら食べ物には左側からの半逆光、分かりやすく言うと自分の座っている左斜め前から差し込む光で、左手を地面と水平に上げた指先あたりの角度から自分の方向へ斜めに降り注ぐ光が最良だからです。

想像していただくと分かると思いますが、光が当たったら反対側に何が出来るかと言うと、影ですよね。
この影、人工照明などで狙って作り出すのであればいい味も出るのですが、無造作に太陽光に当ててとなれば、中々そうも行きません。
反対側に影ができていた場合、消したり和らげたりする方が写真としては自然な感じになりますので、ここでレフ板というものを使用します。

レフ板は白い板ですが、材質はなんでも構いません。ただの白い紙だっていいのです。
実際にノートの一ページを引きちぎって二つ折りにして立て、影が出来ている前あたりに比較的至近距離から、しかしカメラのファインダーに映らないように注意しつつ立てかけて撮ってみると、影が中和されていい感じの写真になります。

もしiPadを持っていれば、iPadに真っ白い画像を表示することで、これもレフ板として使えます。
白い画像は、用意できれば何でも大丈夫です。

iPadの良いところは、光を面で受け止めて、それを全面で均一に反射し、光を柔らかく包み込むように被写体に当てるため、影が自然に中和されるという点です。
レフ板本来の機能に加え、紙と違ってそれそのものが白い光を発光するので、窓際じゃない暗い席を選んだ場合でも、比較的綺麗に写真が撮れます。

こうした一手間を加えるだけでも、写真の質は格段に上がるので、画素よりも光を気にするべきだと思います。

レフ板なしで撮った写真
レフ板なしで撮った写真
下矢印
iPadをレフ板として利用して撮った写真
iPadをレフ板として利用して撮った写真

正直、光は画素より大事です!
1億万画素のカメラなどは写真をプリントしたり引き延ばしたりして楽しみたいという方に向いているもので、インスタグラムやECサイトに掲載するのであれば、200万画素程度のカメラで十分です。
(200万画素というのは20年くらい前の携帯電話のカメラの画素数です。つまり、この画素数を下回るようなカメラは今の時代ほとんど存在しないということです。)

そもそも画素とは、ブラウザに表示する文字や写真を形作るカラードット(点)のことです。
そしてこの点の数を画素数といいます。
画素数が多ければそれだけ精細な写真になることは事実ですが、パソコンのブラウザや携帯の表示能力(画素数)の方には限界があり、これが精々200万画素程度なのです。
これを知ると、200万より多い画素数にほとんど意味はなく、画素よりも他の要素を重要視したほうがいいのは明らかです。
繰り返しになりますが、画素数が大事になってくるのは、プリントアウトして拡大(引き延ばして)して展示する時等です。

RAWで撮影してワンランク上の写真を作り出そう!

写真のデータには、データ形式というものがあります。
「jpeg」というのを聞いたことがある方は多いかもしれませんが、これは代表的なデータ形式です。
スマホやパソコン、iPadなどで閲覧可能で、私たちが見る画像の多くはこの形式で作られています。

また、このjpeg(jpg)はスマホのカメラやデジタルカメラ、一眼レフでもデフォルト設定となっていて、基本的には撮影したらjpegで画像が作られると思っていただいて間違いありません。

jpegとは?RAWとの違いは?

jpeg(Joint Photographic Experts Groupの略)とは、いくつかあるデータの圧縮形式の一つです。

カメラで撮影するということは、被写体に当たった光をカメラが保存するということなのですが、これは人の目や脳と役割が似ていて、私たちが物を見るというのは、反射した光の色合いを認識するということです。
赤なら赤、黄色なら黄色というような反射した光の情報を目(網膜)が捉え、脳でそれを高次元的な処理をして、初めて見えるという現象が起こります。(暗くなったら見えなくなるのもこのためです)

「見る」ということ
「見る」ということ

カメラも同じで、物に当たって反射してきた光をレンズが捉え、それをカメラの内部にある画像処理を司るプログラムが、人の目で見た景観に近づくように、この光は不要、この光は必要、この色合いは強調しようとオート(自動)で判断し、なるべく現物に近づくように加工しています。

最近のカメラは優秀ですので、スーパーファイン等のように通常よりも綺麗に加工処理してくれるモードもあったりします。
これだけでも綺麗な写真は撮れますので、このモードを使用した上に手間をかけて綺麗に撮影した写真は、そのままインスタグラムやECサイトに載せても問題ないものと言えます。

対して、RAWというデータ形式があります。
RAW(生)という名前が示す通り「生」のデータであり、平たく言えば先ほど言ったカメラのプログラムによる自動加工処理をしてないものになります。
処理をしていないので、色が薄かったりして、なんとなく不自然さを感じるデータです。

また、この光情報は必要、これは不要といったカメラの内部処理による取捨選択がされていないため、データ量はかなり大きく、データそのものも重くなっています。
パソコンによっては取り込んでいる最中に内部容量が足りないと警告が出されたり、SDカードにもjpegと比べて半分かそこそこしか入らない・・・という事態に陥ったりすることもあります。
加えて普通にパソコンで画像を確認することは出来ず、Photoshopで開いて確認することになります。

ここまで聞くとデメリットしかないように思えますが、それでもプロのカメラマンは基本的にはRAWデータで撮影しています。
それはRAWならではのメリットがあるからなのです。

RAWデータのメリットとは?

RAWデータのメリットは、画像加工の際に最も感じられます。

後で写真を加工するときに、jpegデータですと綺麗に加工できない場合があるのです。
jpegデータは大げさに言うと、要るものを残し、要らないものを排した完成データです。
ですからjpeg形式の画像を極端に明るくしたりすると、綺麗に見えるように補完してくれる本来あったはずのデータ素材が無いために、劣化した不自然な色味の画像になってしまうのです。

簡単に説明するのが難しいところですが、例えとして、赤青黄色で構成された写真データがあったとして、赤以外の要素を捨ててしまった状態で青や黄色を表現しようとすると、赤の要素を無理に青や黄色に近づけようとしておかしくなる・・・というとイメージしやすいでしょうか?(実際はそんなに単純でもないのですが)

それに対してRAWデータというのは素材が全て揃っていますので、どう加工しても綺麗な写真になります。
最終的には書き出しという作業を経てjpegデータに変えるのですが、jpegは上書き保存を繰り返すと劣化するので、弄るときは基本的にRAWデータを使います。
こう聞くと「毎回最初からやり直すの!?」と思うかもしれませんが、弄ったRAWはその時の状態で保存されていますので、それをまた弄れば大丈夫です。
少し暗めの室内で撮影せざるを得なかったり、白飛び(明るすぎて白地に描かれた模様や形状が分かりづらくなること)が起こりやすい撮影の際には、RAWで撮影をし、後でPhotoshopで加工します。

後で加工できるという点が、RAW形式のメリットなのです。

おすすめは、画像保存形式をRAW+basic(jpeg)で撮影することです。
後で加工することもできますし、データの重さも必要最低限ですので便利です。
RAWのみではなくjpegとのダブル保存をおすすめしたいのは、加工する前にデータを確認する際、RAWだとソフトで開かないと確認できませんので、jpegで確認するためです。
RAWをjpegで書き出したデータは元々のjpegに上書きするようにすると、後々管理が楽になるので、これもおすすめです。

白飛びしてしまった写真
白飛びしてしまった写真
下矢印
Photoshopで白飛びを修正した写真
Photoshopで白飛びを修正した写真

レイアウトにこだわってみる

ケーキ一つだけ、ドリンク一つだけの場合でも、レイアウトにこだわればオシャレに見せることもできます。
大事なことは、余計なものをファインダー(=構図)に入れないということです。
折角見栄えのする美味しそうなデザートの写真も、関係ないスマホやよく分からない書類などが写っていては何がメインなのか分らなくなってしまいます。

そういう余計なものを排したら、まずは何がメインなのかを決めます。
これは簡単に言えば、その写真の主人公です。
背景に雑踏などが写り込んでいるとメインの魅力を半減させてしまいます。
どうしても雑踏が写ってしまう場合は、背景をボカすなどして遠近感を出すと良いでしょう。
野外で撮影する場合は、背景がシンプルな方が被写体は引き立ちますので、是非工夫してみてください。

この背景がごちゃごちゃしている写真よりも・・・

背景がごちゃごちゃしている状態
背景がごちゃごちゃしている状態

こっちの背景がシンプルな写真の方が、写真の主人公でありメインであるカレーの魅力が伝わりますよね!

背景をシンプルにした状態
背景をシンプルにした状態

また食べ物は斜め45度の高さから撮影すると良いと言われていて、実際そのように撮影すると綺麗かつ美味しそうに撮影できます。
角度をもう少し落としてもそれはそれで食べ物の照りや艶などが出て美味しそうに撮影できたりもします。
フォークやスプーンなどの小物を加えるだけでも、それらがないときと比べると大分お洒落な写真になります。
これらも食べ物を撮影する上でのワンポイントテクニックとしてお使いください。

そして何より、上手い人の構図を真似るのも1つの手です。
真似は良くないように感じられるかもしれませんが、上手い人のやり方を真似ると自身の経験値が上がっていきますし、どんどん真似ることで自分のレパートリーを増やすべきです。

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