近年、日本でも越境ECに参入する企業が増えています。
その要因として「日本製=高品質で安全」という海外からのイメージが定着していることが挙げられます。
しかし実は、越境EC運営にも商標リスクが潜んでいることをご存知でしたでしょうか?
今回は越境ECを運営する際に気をつけたい商標のポイントをお伝えしていきます。
日本で商標登録をすれば外国では登録不要?
これまでも解説してきた通り、ECサイトを安心・安全に運用するには商標登録がおすすめです!(以下の記事をご参照ください。)
しかし、越境ECへ参入する場合、実は展開する国ごとに商標登録が必要なことをご存知でしょうか?
日本の商標登録で得られるのは、あくまで「日本国内」の独占権です。
商標法は国ごとに定められているため、商標登録は原則各国ごとに行われ、その審査の基準も国ごとに大きく異なります。
そのため、進出する国の文化や法律に合わせた権利の守り方が必要になります。
例えば中国では「ひらがな・カタカナ」は文字としてではなく、図形として扱われてしまうため、商品やサービス名の日本語での登録以外に、中国語に翻訳した名前も登録するのが一般的になっています。
代表的な例として中国でのコカ・コーラ社の商標があります。
コカ・コーラ社は1979年、通常のアルファベット表記の他に、中国語読みでコカ・コーラとなる「可口可楽」を商標登録しています。


中国では現在も、権利に横入りしようと目論む人が「可口可楽」を出願していますが、ことごとく拒絶されています。
このことからコカ・コーラ社は、海外展開における知財戦略の成功例として多くの企業に参考にされています。
海外の商標登録が遅れたことにより自社商標を他社に取られてしまったり、権利侵害で訴訟案件となる企業が多い中、海外展開の早い段階で現地の言葉も含め権利を守ったコカコーラ社は、海外展開における知財戦略の成功例として多くの企業に参考にされているのです。
このように越境ECで自社のオリジナル商品を展開したいと考えている方はまず、その国の商標ルールを調べることをお勧めします。
海外での商標トラブル事例
海外進出や越境ECの展開に必要な商標登録ですが、まだまだ日本では海外展開の知財対策が浸透しているとは言えません。
そのため「展開予定だった国の会社に商標を横取りされた!」「もうパッケージを作ってしまったのに商標が使えないと判明して商品を取り下げることになった」というトラブルが多発しています。
最近では、石川県の農業総合研究センター砂丘地農業試験場が14年の歳月を費やして育成した新しい超高級ぶどう、「ルビーロマン」が韓国にて無断で栽培されていたばかりか、何者かによって商標登録をされてしまっていたことが明らかになり日本でもテレビに取り上げられるニュースになりました。
これを受けて現在はシンガポール、香港、台湾などに、商標出願をしているそうです。

これは食品に限ったことではなく、ECサイトでよく取扱われるコスメや健康食品なども同じようにリスクがあります。
多くの模倣品やこのようなブランドの乗っ取りが横行してしまうと、「日本製=高品質で安全」というイメージさえも危ういものになってしまいます。
自社のブランド、日本製という強みを守り、活かすためにも権利面でのリスクヘッジは重要なポイントです。
外国での商標登録
外国で商標登録をする方法は大きく分けて2つあります。
1つ目は、商標登録を希望する国に直接商標出願をする方法です。
商標は国によって費用や、商標登録区分(詳しくは、以下の記事をご確認ください。)の扱いも違います。
そのため日本の特許事務所を経由して現地の特許事務所に依頼し出願、登録を行うのが一般的です。
国によっては日本語対応が可能な特許事務所等もあるので現地の言葉が分からなくても依頼することが可能です。
2つ目は、国際的な商標登録制度を利用しその制度の加盟国に出願をする方法です。
「マドプロ出願」とも呼ばれ日本の登録商標、又は日本の出願中の商標を基礎として各国に出願をすることができます。
複数の国に一括で出願ができる等のメリットがありますが進出したい国が1〜2つ程度なら費用が割高になるケースもあるので、複数の国で商品展開をしたい場合に選択されることが多いです。

2つの出願方法どちらが最適なのかは出願したい国の数などによって違います。
また、その国で商標が使える状況なのか事前調査についても無料でできる国と十万円以上かかる国もあります。
テックロー特許法律事務所では、ご説明した2つの方法のどちらにも対応しています。
ご相談いただけましたら、お客様にオススメの方法をご紹介させていただきます。
商標登録は国ごとに行う!
なるほど!まかせてECを運営している マーケティングアソシエーション のパートナー企業 テックロー特許法律事務所 では、商標登録の無料調査を実施しています。
安心安全な越境EC展開ができるように、お手伝いさせていただきます。
