最近、お客様から相談が増えているのが「アパレル分野」の商標登録についてです。
アパレルはもともと商標登録の件数が多い分野ですが、近年個人輸入や個人ブランドの立ち上げが増え、ますます商標登録が重要な分野となってきています。
ECサイトでもアパレル商品を扱う方は多いのではないでしょうか?
今回はアパレル分野の商標登録が重要な理由と、商標登録するときのポイントをお伝えしていきます。
アパレルブランドは商標激戦区!?
みなさん、好きなアパレルブランドはありますか?
そのブランドのどんなところが好きでしょうか。
色使い、生地、価格・・・様々なポイントがあると思いますが
何よりそのブランドが打ち出している ブランドイメージ が好きという方もいるのではないでしょうか?
有名ブランドは、その名前やロゴを見ただけで「かっこいい」「女性らしい」「スポーティで機能的」などイメージが湧いてきます。
例えば同じTシャツでも、入っているロゴマークによってその服のイメージはガラリと変わりますよね。
例えばこの無地のTシャツに・・・

以下のブランドロゴが入っていた場合を、それぞれ想像してみてください。



いかがでしょうか?
これだけ有名なブランドですから、同じ白いTシャツでも、ロゴマークが付くだけでTシャツのイメージがそれぞれ大きく変わったのではないでしょうか?
このように、アパレルは ブランディング が非常に重要なポイントになります。
そのブランィングを象徴するものが「ブランド名」であり「ロゴマーク」なのです。
その大事なブランド名やロゴマークを他社に真似されたり、自分が使用できなくなったりすると困るので、多くのアパレルブランドは商標登録を行なっています。
もちろん同じ名前の登録済み商標があったり、似ている商標があったりと、登録できないケースもあります。アパレル分野は商標登録の激戦区なのです。
アパレル分野の登録区分
以前の記事で、商標登録をするためには「商標をどの商品・サービスに対して使用するのか」という権利範囲の選択(指定区分)が必要で、特許庁が定めている1〜45までの区分の中から選択した区分数により、登録料金が変わるとお伝えしました。(詳しくは以下の記事をご確認ください)
この指定区分、アパレル分野は特に広い指定区分の検討が必要になる分野となっています。
基本的に被服(トップス、ズボン、帽子、ジャケットなど)は 25類 という区分に含まれているため、この区分だけ指定すればOKと考える方もいます。
しかし以下をご覧の通り、アパレルで扱う商品範囲は広く、それに合わせて指定区分も細かく分かれているのです。
区分 | 区分に含まれる商品・役務の例 |
9類 | メガネ・サングラス |
14類 | ネックレス・ブレスレット・指輪・宝石・貴金属・キーホルダー |
18類 | バッグ・革製品・化粧ポーチ |
25類 | トップス・パンツ・帽子・サンダル・靴 |
26類 | ヘアアクセサリー・ブローチ |
35類 | セレクトショップなど小売サービス |
アパレルの区分指定は特徴があります。
オリジナルブランドか、他社ブランドを小売するかで指定する区分が違うのです。
● オリジナルブランドを扱う場合・・・販売商品が該当する区分をそれぞれ指定 ● 他社製品を販売する場合・・・被服系の小売が含まれる35類を指定すればOK
といった具合です。
35類については他社製品を仕入れて販売するセレクトショップや、ECサイト名として指定されることが多い区分です。
例えば、他社商品の被服・バッグ・アクセサリーを販売しているアパレル系セレクトショップの場合は、35類 の小売で権利を取得すれば、1区分のみの安価な費用で商標登録できます。
扱う商品が多い場合、指定区分が増え、その分登録費用も高額になってしまいます。
アパレル業界は流行の移り変わりが早い業界です。長く販売する予定の商品をリストアップし、指定区分の優先順位を決めるのが良いと思います。
ひとまずメインの商品が該当する区分のみを指定して、事業の様子を見ながら新しい区分にも出願していくことも可能です。
(商標登録は、既存の出願や登録に区分を「追加する」ということはできないため、新しく増やしたい区分を指定して「新規出願」することになります。)
ブランド名の商標権侵害事件
一般にアパレルメーカーは自分のブランドに敏感で、商標権を侵害する他社には厳しい姿勢をとることがほとんどです。
海外ではグッチ(GUCCI)がゲス(GUESS INC.)に対して商標権の侵害による損害賠償請求訴訟を提起していた事案について、最終的にニューヨーク州連邦裁判官は2012年、470万ドル(約5億円)の損害賠償の支払いをゲスおよびマーク フィッシャーフットウエアに命じています。
日本国内でも、平成14年に株式会社しまむらで販売していたポロシャツが商標権侵害をしていたとして1236万円の賠償請求を命じられています。
(平成13年(ワ)第4981号 損害賠償請求事件)

自社のブランドが商標登録できていれば、指定商品の範囲内では使用できることが確実になりますので、安全確保のために商標登録はとても有効です。
アパレルブランドは特に、商品リリースをした後に商標権侵害をしていることが判明すると、製造した商品等が無駄になってしまうこともあります。
現在使用している、もしくはリリースしようとしているブランド名が「使用しても大丈夫?」と気になった方はお気軽に問い合わせフォームからお声がけください。
無料商標調査にてご報告させていただきます。
ブランド名無料調査のご案内
なるほど!まかせてECを運営している マーケティングアソシエーション のパートナー企業 テックロー特許法律事務所 では、商標登録の無料調査を実施しています。
アパレルECショップの運営には、商標登録が欠かせません。
商標権を侵害しないためにも、されないためにも、一度調査することをオススメします。
