【プロ直伝】スマホでも物撮りできる!?商品画像をスマホで撮ろう

【プロ直伝】スマホでも物撮りできる!?商品画像をスマホで撮ろう

本格的な写真撮影というと、ほとんどの方が「一眼レフでしか綺麗に撮れないんじゃないか?」と思うのではないでしょうか?

確かに一昔前であれば、携帯カメラと言えば画質も良くなかったので、高いお金を出して一眼レフ、あるいはそれが難しくとも、せめて良いコンパクトデジタルカメラを買わなければなりませんでした。

ただ近年のスマホカメラはとても性能が良く、カメラを買わずとも、iPhoneのカメラで十分事足りるようになってきています。
ということで、皆さんが持っているそのiPhone=高性能カメラで、綺麗な写真を撮ってみましょう!!
上手く撮れれば、そのままECサイトに商品写真として掲載できるだけの写真になるはずです。

スマホカメラでの撮影ポイント

被写体に近づいて撮影する

被写体によって若干の違いはありますが、スマホカメラのレンズは広角レンズといって、広範囲を写す事に特化したレンズで、レンズそのものにはズーム機能が付いてません(システム面でズームにしたり、接写したりをカバーしているのです)。
ですので何も考えずに全体を撮影すると、被写体が小さく映ってしまい、あまり映えません。
“観光地の雄大な自然や歴史的建造物がメインで人物は二の次”という写真でもない限り、写真の出来栄えとしてはいまいちになるかと思います。
そこで商品(や2~5人の集合写真)を撮影する際は被写体にカメラが近づく必要があります。

私も「撮影してもらって良いですか?」とスマホを渡された時には、なるべくスマホを被写体に近づけて撮影するようにしています。
(「スマホカメラでもカメラマンに撮ってもらった方が良いと思って・・・」とスマホを渡されることがしばしばあります。)
全身を写す時もありますが、その場合でも表情がしっかり写り、またどこで撮影したのか分かるように背景もある程度しっかり写るように撮影します。

これは物撮りではなく記念写真のポイントになりますが、神社仏閣などの建物と一緒に撮影する際は建物から離れて、スマホは人に近づけるようにして撮影すると、遠近感の関係で両方がしっかり写っている写真が出来上がります!
スマホカメラのみならず、コンパクトデジタルカメラや一眼レフでも使えるテクニックなので、是非覚えておいてください。

建物と人物の両方がしっかり写る撮り方-イメージ
建物と人物の両方がしっかり写る撮り方-イメージ

構図に注意する

状況を説明する写真でもない限り、一般的には日の丸構図は良くないとされています。

日の丸構図とは、メインの被写体が真ん中にあって、それ以外に何も映ってない構図のことです。
日章旗を連想させる事から、日の丸構図と呼ばれています。

日の丸構図の写真例
日の丸構図の写真例

日の丸構図の何が良くないかというと、単純に変化に乏しく面白みに欠けるからです。
何故面白みに欠けるのかというと、人間の脳のメカニズムで、パッと見たときに視線が一点に固定され、そこから動くということがないためです。

絵画や写真でも見ていて楽しいと感じるものは、無意識に視線があちこちに動くようになっていて、その結果楽しいと感じるようになっているものが多いです。

絵画や写真でもそうですし、実は書道などでもそうなのですが、空間の余白というのは大事な要素なのです。
これらの作品の中にある余白というのはただの空いたスペースではなく、意図的に空けたスペースであり、これが不思議と作品を引き締めるものとなるのです。

日の丸構図ではこの余白が全て等間隔になるので、見ていて飽きやすく、とても退屈に感じられてしまいます。
どうしても日の丸構図で撮りたいのであれば、例えば食べ物ならメインの被写体の左右にカトラリーを配置するなど、少し視線が動く(=視線誘導)ようにしてあげると、単純な日の丸構図よりも面白みがぐっと増してくるわけです。
また、空いたスペースに文字を入れても良いでしょう。

日の丸構図の写真は余白に小物を置くと面白くなる
日の丸構図の写真は余白に小物を置くと面白くなる

明るさを確保する

過去の記事でも再三言及してきたことではありますが、写真には明るさが重要なのは、スマホカメラでも同じです。
オート機能に任せても良いのですが、スマホカメラには露出という明るさを調節する機能が備わっているので、この機能を使い明るさを調整しましょう。
(ご自身のスマホカメラにこの機能があるかどうか分からないという方も、画面のあちこちをタップして、明るさを調整する機能がどこにあるか確認してみてください。恐らくほとんどのスマホカメラには備わっているはずです。)

撮影画面で暗くなってる部分があったら、指でタップすると明るさを調整できるようになるので、少しずつ調整して丁度いい明るさを探ってみてください。

ガラケーの場合はカメラの機能がそこまで優れていないので、PhotoshopLightroom(後述します)等を使って調整した方が良いでしょう。

撮影後に加工する

撮影後に明るさを調整する方法①加工ソフトを使う

明るさ調整程度なら、無料で使えるフリーソフトのJTrim(オレンジのカエルのアイコン)がお勧めです。私も昔は良く使っていました。
合成や一部消去など複雑な作業はできませんが、明るさ調整であれば、十分に使えるソフトです。

スマホの方は、同じく無料で使えて課金をすればパソコンで同期して作業もできる画像加工ソフトLightroomの方がお勧めです。
もちろん有名なPhotoshopも画像加工する上では大変便利なソフトとなっております。

PhotoshopもLightroomもサブスクリプションでリリースされていて、月額費用は意外と安くなっています。
これからECサイトにご自身で撮った写真を掲載するのであれば、先行投資として契約した方がベターかもしれませんね。

実際に以下の写真は撮影してそのまま何もいじっていない写真と、Lightroomで明るさなどを加工した写真です。
加工したほうが見栄えが良いのは一目瞭然ですね。

何もいじっていない写真Lightroomで明るさを加工した写真
lightroomで加工する前の写真lightroomで加工した後の写真
(左)加工前、(右)Lightroomで加工した後

屋内だとどうしても明るさ不足になりがちです。
職業柄私も色々な方がスマホで撮った写真を見せていただくことがあるのですが、せっかく記念にと撮影した美しく美味しい料理も、写真で見返したら「全然美味しそうに見えない・・・実際は綺麗で美味しい料理だったのに・・・」となる場合も少なくありません。

屋内で撮影する場合でも、あまり混んでいないカフェで一人で撮影するならば窓際の席を取ったり、撮影用の照明機材(実は携行用もあるんです)を使ったり、ipadに入れた真っ白な画像をレフ板代わりにしたりするなど方法がいくつかあります。
(具体的な方法は以下の過去に書いた記事をご参照ください。)

しかし、どうしても周りに人がたくさんいる状況で撮影せざるを得ない場合は、上記の方法では悪目立ちしてしまいますし、何より恥ずかしいものです。
そんな時には、RAWデータ形式で撮影することをお勧めします。

撮影後に明るさを調整する方法②RAWデータ形式で撮影する

RAWデータとは言葉通り生のデータの事で、平たく言えばカメラが捉えたそのままの情景を収めたデータです。
※英語の「raw」は、日本語では「生」という意味です。
RAWデータについては以前別の記事でも触れているので、ここでは簡単にご説明します。

実はカメラで撮った写真のデータ(厳密には光のデータ)は、カメラのプログラムによりなるべく自然な感じになるように圧縮調整されています。
写真タイトルの末尾に「.jpg」というアルファベットを見たことがありませんか?
このjpgというデータこそが、圧縮調整されたデータなのです。

jpgデータでも加工できないわけではないのですが、jpgデータだと上書き保存をする度に画質が荒くなってしまいます。
写真を明るくするだけでもかなり劣化してしまうんです。

理由を説明するとjpeデータではデータを圧縮調整する際、本来あるはずの色のデータが一部削除されてしまうからです。
一部の色のデータが削除された状態では写真を加工する際に必要な色を全て補う事が出来ず、残っている色のデータで無理に補おうとするため、色味が変になってしてしまう訳です。

jpegデータを加工する時のイメージ
jpegデータを加工する時のイメージ

jpgデータはカメラが自動で調整してくれたデータとはいえ、カメラが暗い状態を正常だと判断すれば、それはそのままデータとして出力されます。
さすがに暗く写ってしまった写真を自動で明るくして出力してくれるという事はありません。

このjpgデータに対してRAWデータは、カメラが色味を調整・補正していないデータです。

色のデータを一部削除していない分データ量が多く、jpgに比べるとカメラやパソコンの容量を圧迫するのですが、画像加工しても劣化しにくいことから、プロやハイアマチュア(アマチュアの中でもかなりやり込んでいる方々)のカメラマンは基本的にRAWで撮影し、それを加工しています。

さて、RAWデータの説明はここまでにして、ここからはスマホカメラでRAWデータの撮影をする方法をご説明します。

もちろんお使いのスマホの機種に合わせたやり方を検索していただくのが一番良いのですが、基本的にはLightroomがオススメです。
無料ソフトと比べて画像加工の自由度が圧倒的に高いので、色味を変えたり明るさを変えたりする以外にも、色々と遊んでみると新たな発見があったりして楽しいと思います。

以下は筆者のスマホ(Andoroid)にてLightroom使用時のスクリーンショットです。
画面上部に「DNG」と表示されていますが、これが「RAW」のことです。
ここは「JPEG」に切り替えることもできるのですが、後で加工したい場合は「DNG」で撮影しましょう。

アプリ「lightroom」のスクリーンショット
アプリ「Lightroom」のスクリーンショット

再三言うようですが、写真は明るいだけで随分と素敵に見えるものです。
画像加工ソフトで調整したり、照明機材を用いて明るさを確保したりするだけでも、写真の質は上げられます。
照明機材も、予算に余裕がなければまずは卓上電気スタンドを使用してみても良いでしょう。
それでも暗く感じるときは、被写体に卓上電気スタンドを近づけてみてください。

「加工」と「明るさ」を制したら、次は「レイアウト」へ

写真を良く見せようと思ったら、レイアウトも大切な要素になってきます。

例えば、ぐるなびのような飲食店の宣伝サイトを想像してみていください。
(ECサイトとは別物だと感じるかもしれませんが、見た人に「美味しそうだと感じてもらい、来店してもらいたい」という思いは、ECサイトでも「良いものだと感じてもらい、購入してもらいたい」と言い換えることができるので、写真を掲載する目的としては同じだといえます。)

メインの料理だけではなく、例えばフランス料理であればワイン瓶であったり、ナイフやフォークであったり、小物が一緒に写っている写真が思い浮かぶのではないでしょうか。

飲食店の写真のイメージ
飲食店の写真のイメージ

こういったメインの被写体に関連する小物は積極的に利用したいところですが、他にも小さなフィギュアやぬいぐるみを使うのも手です。
そういったものを使うことによって、ちょっとしたストーリー性を演出できたりするからです。

商品写真にどのようなストーリー性を持たせればよいのか分からないという方は、まずは漫画や小説などの好きな作品をイメージした写真を撮ってみることから始めるとよいかもしれません。

レイアウトのコツを掴むには、手本にしたいと感じる写真を真似することから始まります。
しかし、真似して撮っているのに、同じような仕上がりにならないということもあります。
なぜなら写真を1つ見たからといって、それと全く同じように撮影することはできないからです。

良い写真を撮影する為には日頃から美術館に行ったり映画を見たり、(意外かもしれませんが)本を読んだりして広範囲にアンテナを張って、それらからアイディアを持ってくることで実現できるのです。
既存作品のパロディや、尊敬する作家や作品に影響を受けた作品いわゆるオマージュを制作することも重要だということです。

最近ではわざわざ外に足を運ばなくとも、インスタでハッシュタグを検索すれば様々なクリエイターの方々の作品が見られるので、それらを片っ端から真似してみるという方法もとれます。
※ただし、それを自分の完全オリジナルとしてネットにUP掲載すると問題になりますので要注意。

オリジナルというのは0から生まれるものだと考えている方も多いかもしれませんが、何も無いところからいきなりオリジナルが出来上がるということはほとんど無く、一定の評価が得られている作品を模倣し、それを自分の中のパターンとすることで、色々な良い写真を撮ることができるようになるものです。

自分にはセンスがないから、という声もよく聞きますが、前述したようにセンスは様々な作品を見たり模倣したりすることで後付け可能な代物です。
ですので、自分の写真に自信がないという方には是非とも、そういった活動にも取り組んでいただきたいと思います。

まとめ

技術+環境+撮影者の貪欲なまでの知識収集が上手くかみ合わさって初めて“良い写真”は出来あがります。

今回の話をまとめると

・明るい環境で撮影する、それが無理ならRAW形式で撮影し後で加工する
・スマホで撮った写真はlightroomやPhotoshop等の画像加工ソフトで加工する
 (できることの幅が広いのでフリーソフトよりこちらがおすすめ)
 ※フリーソフトはRAW写真データを加工出来ないことが多い。
・日の丸構図を避けたレイアウトを意識する
・小物を使って余白を上手く活用する&余白の使い方、活かし方も考える

以上をしっかり押さえていただくことで、スマホでも魅力的な写真を撮れるようになるかと思います。
是非、試してみてください。

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