商品画像の背景は白がオススメ
ECサイトの商品画像は、白い背景がオススメです。
なぜなら以下の効果・メリットがあるからです。
- 満遍なく拡散された光が商品を包み込むように当たるため美しく撮れる
- スッキリとした清潔感がある写真になる
- 余計なものが写ってないので商品の魅力や特徴を伝えやすい
- 加工が容易にできる
それぞれについて詳しく解説します。
満遍なく拡散された光が商品を包み込むように当たるため美しく撮れる
写真を綺麗に撮影するためには何よりも、適切な量の光を適切に当てることが重要です。
インスタントカメラや携帯カメラ、コンパクトデジタルカメラ(※以下コンデジと略します)、一眼レフに内蔵されているストロボ(Nikonでいう所のフラッシュ)を当てて撮影した時、背面は暗く、被写体には不自然に光が当たっている写真が出来上がったという経験をしたことがある人は多いと思います。
しかしこれが白背景で撮影することにより、前後左右から乱反射した光が被写体に当たることになります。
こうして被写体は満遍なく反射光でライトアップされ、カタログ写真のように綺麗に撮影できるというわけです。
スッキリとした清潔感がある写真になる
白い背景は全体的に明るい印象で、洗練された清潔感を与えてくれます。
黒い背景で撮影するとそれはそれでシャープに引き締まり、カッコいい印象を与えてくれるのですが、特にこだわりが無ければ白背景の方が良い印象を与えられるでしょう。
商品画像は見る側に好印象を与えるのが第一の目的ですから、そういう意味で白い背景はとても理にかなっています。
余計なものが写ってないので商品の魅力や特徴を伝えやすい
商品画像では、商品の魅力が相手に伝わらなければ意味がありません。
それが伝わらなければ購買意欲の低下に直結してしまい、売れない商品となってしまいます。
以下の画像は、2枚の写真を横に並べたものです。
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左側の背景に色々なものが写っているバナナの写真と、右側のバナナが単体で写っている写真、どちらが強烈にバナナを感じられるでしょうか?
恐らく右側ではないでしょうか。
商品画像も同じことで、背景は余計なものが写っていない方が、商品の魅力を伝えやすくなります。
また、白い背景は商品の色を引き立てやすく、シンプルに視覚情報に訴えかけることができます。
逆に背景に余計な情報が入っていると、人間は購買の判断力が一瞬落ちてしまいます。
Amazonや楽天に出品したことがある人は思い当たるかもしれませんが、ECモールにはよく「商品写真の一枚目は白背景の写真でなければいけない」というルールが存在します。
それには、こういった理由もあるのです。
加工が容易にできる
加工が容易であることも、白背景が好まれる理由です。
写真を加工するとき、白背景かそうでないかで、手間が大きく変わってくるのです。
とくに複数のECモールに出品している場合は、モールごとにそれぞれルールが存在しますが、それぞれに合わせていちいち写真を撮っていたのではいくら時間があっても足りません。
となると、白背景の写真を1枚撮って、それをルールに合わせて加工していった方が作業時間を短縮できます。
白飛ばし・白抜きについて
被写体の周りを白く塗りつぶした写真を白抜きと言います。
一方で、被写体の周辺を白く明るくした写真を白飛ばしと言います。
白抜き | 白飛ばし |
---|---|
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「商品の特徴を伝えやすい白抜き加工、商品のイメージをオシャレに伝える白飛ばし」という捉え方をしていただければと思います。
実は厳密に言うと「白」とはRGB値(色彩を表すカラーコードチャートと呼ばれる数値)が255:255:255の割合、つまり赤緑青の数値がすべて255である色のことです。
しかしただ商品の背面に白い紙を設置し照明を当てて撮影しただけでは、商品の影ができたりして、背景の一部がグレーになってしまうことがあります。
こうなると白背景とは言えなくなってしまい、ECモールで「白背景の写真を掲載すること」というルールがあった場合、ルールに従うことができなくなってしまいます。
そんな時に、白抜き加工を行います。
白抜きとは指定した範囲外を白く塗りつぶすものです。
被写体以外の明るさを上げることで背景を白くする、白飛ばしという加工方法もあります。
白飛ばしは影も映るため、被写体に立体感を与えやすくなります。
ただし白飛ばしは加工の方法を間違うとハイキーになるなど、おかしなことになる場合もあり、注意が必要です。
下記の写真の、バナナの下あたりの影をご覧ください。
一見すると綺麗に見えますが、黄色い反射した影が強くハイキーに残ってしまい、不自然な仕上がりになってしまっています。
このような加工でも素敵に見える場合もありますが、色むらが生まれれたりして不自然になってしまうことが多いです。
なので、初めての方は白飛ばしはやり過ぎない方が無難です。
加工する前に注意すること
撮影時にはカメラの撮影機能をRAWモードに切り替えて撮影し、加工時の画像の劣化を防ぐよう努めなければなりません。
RAW形式については、以下の記事で詳しく解説しています。
照明は外付け式外部ストロボやモノブロックという大型のスタンド式のストロボ機材を使いましょう。
LEDライトあるいは卓上スタンドでも良いのですが、外部外付けストロボやモノブロックに対してLEDライトなどは少し光が弱いので、被写体に近づけて照らすなどの工夫が必要です。
さらに細々したものは、できるだけまとめて写すようにします。
なぜならこうすることによって、後で加工する範囲を選択しやすくなるからです。
小さなことですが、するとしないでは後々の手間が大きく変わります。
ちなみに動物のヒゲや人間の髪の毛、栗のトゲトゲなど、境界線が複雑なものに関しては白飛ばしの方が楽です。(動物のヒゲは明るすぎて写らない事もあるので注意。)
他にも注意しなければならないことはあります。
被写体が白い場合は背景と同一化してしまうことがあります。
これを防ぐためには被写体の色調をアンダーにするなどの調整が必要です。
後で白飛ばしすればいいと思うかもしれませんが、白飛ばしでは被写体まで明るく飛ばしてしまい、何が写っているか良く分からない写真になる事もあるのです。
具体的な加工方法に関して
ここからは具体的な加工のやり方をご説明していきます。
※説明はPhotoshopでの加工のやり方です。
白飛ばしのやり方
先ずは「クイック選択ツール」を選択します。

続いて左クリックを長押ししながら、バナナを枠線で大まかに囲っていきます。
(この際一度にやらず少しずつやると間違った時のリカバリーがしやすいです。)
失敗したら右上にある「ヒストリー」をクリックするとやり直しできます。

一気に選択すると途中の地点に戻せないので、一度にやってしまわずに、このように少しずつ区切って選択しましょうという事です。
見づらいときは、メニューバーの「イメージ」の下にある筆のようなアイコンを選択した後、「+」や「-」を弄ると選択範囲を拡大・縮小できます。

また、選択する際は、カーソルの円が大きいほど広い範囲を一度に選択できますが、細かいところの選択には不向きです。
少し小さめにしておいた方が、作業しやすいでしょう。
任意の範囲を選択できましたら、左下の「ズームツール」をクリックし、画像を拡大していきます。
画像を拡大して、選択範囲がおかしいところが無いかチェックするためです。

ほとんどの場合は選択範囲の線が変なところに行ってしまっている箇所があるものなので、先ほどの「クイック選択ツール」を使って正しいと思う位置に線を修正していきます。(下記参照)
画像の仕上がりに大きく影響しますので、面倒な作業ではありますがここは絶対に手を抜いてはいけません。
この作業をできるだけ簡易にするには、撮影の時点で背景に余計なものはなるべく置かないようにしましょう。
選択範囲の修正まで完了したら、今度は「選択範囲を反転」というメニューを使って選択範囲を反転させます。


一見バナナの枠線は何も変わってないように見えるのですが、実はこの時、加工の対象がバナナのみからバナナ以外すべてに切り替わっています。
よく見ると、枠線がバナナの周りだけでなく、写真そのものの周りにもあるのが分かりますよね?
これで準備が整いました。
なぜこの作業が必要なのかというと、これによってバナナの色や明るさを変えることなく、背景の明るさだけを変え放題にできるからです。
これをしないと、背景だけ明るくしようとした時にバナナも白く飛んでしまいます。
最後に、露光量を調節します。
ここで思いっきり明るくすると、白飛ばし加工ができます。
ここまで白飛ばし加工の工程を説明してきましたが、途中から違う処理を行うと白抜き写真を作ることができます。
白飛ばしと白抜きは、カレーと肉じゃがのような関係性なのです。(途中まで料理の工程が同じという点で。)
白抜きのやり方
「クイック選択ツール」で対象を選択するところまでは同じです。
ただし白飛ばしと違い、選択範囲を反転させる必要はありません。
対象を選択できたらメニューバーから「編集」をクリックし、表示されたメニューの中から「コピー」をクリックします。

これでバナナの部分だけをコピーできました。
コピーできたら、そのまま続けて「ペースト」をクリックします。
一見すると何も変化が無いように見えるのですが、元の写真の上に、コピー&ペーストしたバナナの部分だけの写真が重なっているという状態になっています。
コピー&ペーストするとレイヤーが右下にもう一枚出来上がります。
最後に、元の画像の方を「塗りつぶしツール」で白く塗りつぶします。
この時上に重ねてある方の画像は塗りつぶされないので、視覚的にはバナナ以外が真っ白に塗りつぶされたように見えます。
元の画像だけ真っ白に塗りつぶした後は、「表示レイヤーを結合」させます。
これによって元の写真とバナナの部分のみの写真を合体させます。

これで白抜き加工が完了です。
白飛ばし画像も白抜き画像も、加工するには使い勝手がいいものですので、まずこれらの加工を行ってから他の画像加工を行うと良いでしょう。
画像加工の注意点
画像加工には、いくつか注意点があります。
デバイスによって見え方が異なる場合がある
Web上の画像は、その画像を見るデバイス(PCやスマホなど)によって明るさや色味が多少変わります。
折角いい感じに画像を加工したのに、別のデバイスで見たら雰囲気や色が全然違った・・・ということはよくあります。
加工作業が終わったら一度、作業していたのとは別のデバイスで画像の見え方をチェックした方が良いでしょう。
プロに依頼する方がコストパフォーマンスが良いこともある
細かい作業が苦手という方や、日々業務に追われていてじっくり画像加工する時間がない方には、「レタッチャー」と呼ばれる画像加工のプロにお願いするという方法もあります。
当然費用は発生しますが、苦手な人が何時間もかけて作業したり、画像が魅力的でないことでお客様に購入してもらえなかったりということを考えると、プロに依頼した方がコストパフォーマンスが良い場合もあるでしょう。
最後に
大事なことは、撮影してからどう加工するか考えるのではなく、撮影している段階でどうやって撮影したら一番加工が楽か?という事を考えて撮影することです。
これを考えておかなければ、いざ画像を加工しようとした時に、とても苦労することになります。
- jpg(jpeg)やpng形式ではなく、RAW形式で写真撮影する
- 照明はストロボやモノブロックを使う
- 白抜きや白飛ばしをするつもりなら、背景には細々としたものを写さない
- 被写体が白い場合は、撮影の時点で色調を調整しておく
上記のことに注意して商品の写真を取れば、加工の難易度もそれほど高くなくなるはずです。
なおECサイトでは商品の色や雰囲気を加工し過ぎると「実物と違う」というクレームに繋がる危険性があります。
加工する際は、“商品を魅力的に見せるために加工はするが、やり過ぎない”ことを心がけましょう。