前回の記事では「D2CビジネスにおいてECモールをどのように活用するか」という視点でお話をさせていただきました。(前回の記事は、以下のリンクよりご確認ください。)
今回の記事では、ECモールについて、もう少し詳しくお話できればと思います。
本記事では
- 国内3大ECモール(Amazon、楽天市場、Yahooショッピング)の違い
- その中で弊社が専門領域としているAmazonを活用した際に得られるメリット
について説明していきます。
※楽天市場やYahooショッピングもそれぞれに適した使い方があると思いますが、その解説は各モールのご専門家の方々に譲りたいと思います。
国内3大ECモールの違い
現在、日本国内のECモールはAmazonと楽天市場の2強状態。
そこから少し差をつけられてYahooショッピングが続いており、おおむねこの3つのECモールが主要なものとなります。
モールの規模
各モールの運営企業とも、モール単体での流通総額は公表していないため、正確な数字は諸説ありますが
「Amazonと楽天市場がほぼ同じくらい。Yahooショッピングがその1/3〜1/4ほど。」
という見解をお持ちの方が比較的多いようです(弊社クライアントの売上実績を拝見していても、それほど遠くない推定だと感じられます)。
Amazon/楽天市場はモール全体の規模感は同程度ですが、カテゴリ毎に規模の大小があります。
※一般的には「家電はAmazon、食品やファッションは楽天が強い」などとよく言われますが、小カテゴリ(たとえばファッションなら、アパレルなのか財布なのかバッグなのか)によって、それが入れ替わることもあります。
販売にかかる費用
Yahooショッピングは規模こそ他の2モールに及ばないものの、固定費がかからず、各種手数料も割安のため、コストパフォーマンスでは一番優れています。
※そのためか、他のモールを主軸としつつ、サブの販売チャネルとしてYahooショッピングを使っている販売者が多いように見受けられます。
Amazonと楽天を比較すると、楽天に比べてAmazonは固定費が少なく、モール内の広告等にかかる販促コスト(セールの出店費用、広告の平均CPCなど)も相対的にAmazonの方が安価なケースが多いです。
※かけた販促コストの費用対効果は、自社商品の特徴、競合環境等により変わりますので、単純に「楽天よりAmazonの方がコストパフォーマンスが良い」というわけではありません。
Amazon.co.jp | 楽天市場 | Yahooショッピング (PayPayモール) |
|
初期費用 | ¥0 | ¥60,000 | ¥0 |
月額費用 | ¥4,900 | ¥19,500~ | ¥0 |
販売手数料 (決済手数料等含む) |
8~15% (一部例外あり) |
8~15%? | 4%~ |
販促コスト | 中 | 高 | 低 |
推定流通総額 (グループ全体) ※2020年 |
約4.7兆円 | 約4.5兆円 | 約1.4兆円 |
ユーザーの特徴
各モールの具体的なユーザー属性を外部から知る術はありませんので、あくまで各モールのコンサルタントの方から聞いたお話を基にした見解にはなってしまいますが、以下のような特徴があると考えられます。
楽天市場/Yahooショッピング:
ほぼ毎日のように何らかのセールが行われおり
「今日のセールは何か面白いもの売っているかな?」
のようにウィンドウショッピング的な閲覧をするユーザーが多くなっています。
Amazon:
楽天/Yahooに比べるとウィンドウショッピング的に閲覧するユーザーは少なく
「〜〜という名前/型番の商品が欲しい」
「〇〇用に使える商品がほしい」
といった目的が明確なユーザーが多い、という傾向があるようです。
Amazon活用のメリット
前節では各ECモールの特徴についてお話しました。
本節ではAmazonを専門領域としている弊社の視点から、Amazonを活用した際に得られるメリットをいくつか紹介させていただければと思います。
① オペレーションコストが少ない
AmazonにはFBAというフルフィルメントサービスがあり、在庫を予めAmazonの倉庫に納品しておくことで、注文受付、出荷、配送管理、返品管理などをAmazonに丸投げしてしまうことが可能です。
通販特有の、煩雑で工数のかかる作業が極めて少なく済むので、社内のリソースを商品開発やマーケティングなど、より本質的な業務に集中させることができ、少資本、少数精鋭で経営している企業でも取り組みやすい環境が整っています。
② 流入経路のデータが詳細に見られる
Amazonでは広告経由の流入に関して、すべての流入経路(ユーザーの検索語句など)と、経路ごとの細かい数値パフォーマンスをチェックすることが可能です。
(他のモールでは「上位何件まで」など断片的にしか見ることが出来ませんが、Amazonではロングテールワードまで全て見ることができます)
広告データや、その他の情報を統合して分析することで、「自社商品が選ばれている理由/選ばれない理由は何か?」という消費者インサイトの掘り起こし、仮説検証が他のモールに比べてやりやすくなっています。
そのため、市場の反応を確かめるために、テストマーケティング目的でECモールを活用するケースでは、Amazonは比較的相性の良いモールになり得ます。
③ 海外展開がしやすい
Amazonは日本以外の国にもマーケットプレイスを開いており、販売用の管理画面も日本とほぼ同じ見た目になっています。
管理画面も日本語対応しているため、外国語が堪能でなくても出品が可能です。
また、先述したFBAは海外のマーケットプレイスにも存在し、日本からFBA倉庫に商品を納品すれば、現地に物流拠点を持つ必要がなくなりますので、比較的少ない労力・コストで越境ECを行えます。
※当然、商品パッケージや商品ページのコンテンツは現地の言語で記載する必要がありますし、カスタマーサポートも現地の言語で行う必要があります。
また、販売にあたっては現地の各種法規制を遵守する必要があります。
※海外のマーケットプレイスは規模も大きいですが、その分プレイヤーも多く、全世界の販売者が日々しのぎを削っています。商品企画〜販促施策に至るまで、1つ1つに日本以上のレベルが求められるため、進出する場合はある程度しっかりとした勝算を立てて臨む方が良いかと思います。
まとめ
本記事では、国内の3大ECモール、その中でも特にAmazonについて、特徴や活用メリットを少しばかりですがお話させていただきました。
本文中でも少し触れましたが、どのECモールが販売チャネルとして最適かは、販売する商品や競合環境、活用する目的などによりケースバイケースです。
弊社がお客様からご相談を受けた際も
「この商品はAmazonとは相性が良くなさそうなので、他の販売チャネルに優先投資した方が良いのではないか。」
というお答えをすることがしばしばあります。
出店を検討する段階においては、事前にしっかり各モールの状況を分析し、自社商品と相性の良い販売チャネルを判断することが大切です。
本記事が、そういったご判断の一助になるようであれば幸甚です。
※もし自社での分析・ご判断が難しいという場合は、ご相談いただければ、(Amazonに関しては)弊社から何かしら判断材料となる情報をご提供できるかもしれません。