食品ECで成功するために!押さえるべきポイントと課題を徹底解説

食品はECサイト向けの商材ではないと考えて、食品ECへのチャレンジを躊躇している方はいませんか。たしかに、食品は他のカテゴリに比べるとEC化が遅れています。

しかし「Amazonフレッシュ」「楽天西友ネットスーパー」のように食品ECでも成功している企業もたくさんあります。つまり、やり方次第で食品ECは売上アップや販路拡大に大きく貢献してくれるでしょう。

本記事では、食品ECの課題と成功するためのポイントについて詳しく解説します。

食品ECとは?

食品ECとは?
食品ECとは?

食品ECとは、生鮮食品や加工食品などユーザーの口に入る食べ物を取り扱うネットショップのことです。

食品ECは、ビジネスモデルの違いにより「一般型」「サブスクリプション型」「ネットスーパー型」に分類できます。

一般型

一般的なECサイトと同様に、生鮮食品や加工食品を商材として取り扱うビジネスモデルのことです。

サブスクリプション型

サブスクリプション型は、月に1回・週に1回など定期的に商材をユーザーに配送するビジネスモデルです。
旬な食品を定期的に配送したり、数日分の必要な食材を配送したりといった具合です。

ネットスーパー型

ネットスーパー型は、実店舗のスーパーが運営するECサイトから商品を配送するビジネスモデルです。
スーパーを中心としているため、近隣エリアの方がターゲットユーザーとなります。

食品ECの市場規模

食品ECの課題やポイントの前に、まずは市場規模について解説します。

経済産業省の調べによると、2021年のBtoC-EC市場規模は20.7兆円でした。
2020年の19.2兆円から7.35%も拡大しています。また、2013年の市場規模は11.1兆円であったことから、8年で約1.8倍に膨れ上がっていることもわかります。
この推移をふまえると、今後もBtoC-EC市場規模は拡大していくと予想できるでしょう。

対して、食品の分野におけるEC市場規模は2兆5,199億円でした。BtoC-EC全体の市場規模の12%を占める割合となります。一見すると巨大な市場のようですが、実は食品の分野はEC化率が3.77%とEC化が進んでいないカテゴリでもあります。

各カテゴリの2021年の市場規模とEC化率は以下の表のとおりです。

分類市場規模(億円)EC化率
食品、飲料、酒類25,1993.77%
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等24,58438.13%
書籍、映像・音楽ソフト17,51846.20%
化粧品、医薬品8,5527.52%
生活雑貨、家具、インテリア22,75228.25%
衣服・服装雑貨等24,27921.15%
自動車、自動二輪車、パーツ等3,0163.86%
その他6,9641.96%

参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2022年版)

EC化率が進んでいる「書籍、映像・音楽ソフト」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」「生活雑貨、家具、インテリア」のカテゴリは、ECサイトとの相性が良いため2割を大きく超えるような状況となっています。また、物販系分野の全体のEC化率も8.78%でした。

上記の傾向からも食品は、EC化の進んでいないカテゴリであることがわかります。EC化が進んでいないため、今から参入してもチャンスはまだ多く残っていると考えられるでしょう。

ECサイトで食品を扱う際の問題点

ECサイトで食品を扱う際の問題点
ECサイトで食品を扱う際の問題点

他のカテゴリと比較して食品のEC化率が低い理由は、食品ECに以下の3つの課題があるためです。

  • 直接手に取って商品の確認ができない
  • 実店舗と比べると利便性が低い
  • 客単価が低い・利益が出にくい

食品ECで成功するためには、これらに対してどのような対応をするのかが重要なポイントになります。自社に適した対応策を検討するためにも、3つの問題点について理解を深めましょう。

直接手に取って商品の確認ができない

ECサイトの1つ目の問題点は、ユーザーが商品を直接手に取って確認ができないことです。

例えば、スーパーで野菜を購入する際に、「鮮度が落ちていないか」「大きさに対して適切な値段か」「痛んでいないか」などを確認するでしょう。このような確認ができないと、とくに食品ECの場合はユーザーの不安につながりやすいです。

一方、家電製品などの型番商品であれば、近隣の家電量販店に行けば商品を確認できます。型番商品は、同じ型番であればどこで買っても同じ商品のため、実店舗で商品を確認してECサイトで購入されることもあります。
しかし、食品ECの場合では「スーパーで商品をチェックして、ECサイトで商品を購入しよう」とはなりにくく、そのままスーパーで購入されるでしょう。

以上の理由から、直接手に取って商品を確認できないことは、食品ECにとって大きな課題となります。

実店舗と比べると、利便性が低い

食品ECの2つ目の問題点は、実店舗と比べると利便性が低いことです。

ECサイトは、いつでも・どこからでも注文できるため「利便性が高い」と感じる方もいるかもしれません。しかし、食品ECの場合は実店舗の方が利便性に優れている部分が多くあります。

例えば、コンビニであれば24時間・全国の多くの地域で利用が可能です。小腹がすいたときや、飲み物が欲しくなったときにはいつでも手軽に購入できます。また、スーパーでは豊富な食材の中から必要な商品を手に取って確認することもできます。

さらに、実店舗であれば商品購入と同時に商品が手に入るのも利便性が優れている理由です。
食品ECであれば購入すると配送が必要であることから、商品を入手できるまでにタイムラグがあります。いますぐに商品を欲しいという方にとっては、あえて食品ECで購入する必要のない環境が整っているといえるでしょう。

客単価が低い・利益が出にくい

食品ECの3つ目の問題点は、客単価が低く・利益が出にくいことです。

その主な要因は、食品の単価の低さにあります。高級食材などを除く一般的な食品と家電製品をイメージすることで、食品の単価の低さが納得できるはずです。スーパーなどでは単価の低い商品でも、まとめ買いによって十分な利益を確保できます。

しかし、食品ECの場合では梱包作業や発送作業が必要となるため、スーパーと同様の利益を確保するのが困難です。
梱包作業では、作業員の人件費や梱包資材に費用がかかります。また、ECサイトでは送料を負担することも珍しくありません。さらに、食品は保管時・発送時ともに適切な温度帯での管理が必要なため、対応した物流システムを確保するための費用が発生します。

食品ECは、単価の低い商品の中からこれらの費用を捻出しなければならないため、利益が出にくいのです。

食品ECのメリット

食品ECのメリット
食品ECのメリット

食品ECには、問題点があるためチャンスがないのかといえばそうではありません。食品ECの5つのメリットをうまく活用することで、十分な利益がだせるビジネスモデルを構築することも可能です。

  • 24時間365日販売が可能
  • 販路の拡大が可能
  • まとめ買いが可能
  • 在庫切れが起きにくい
  • 様々な商品を展開しやすい

以下より、食品ECの5つのメリットについて詳しく紹介します。

24時間365日販売が可能

食品ECのメリットは、24時間365日の販売が可能なことです。

ECサイトはインターネット上に店舗を構えている状態なので、スタッフを常駐させる必要がありません。そのため、夜間であってもユーザーからの注文を受け付けられます。このことは、食品ECサイトに限らずECサイト全般にいえるメリットです。

ユーザーにとっても、いつでも買い物ができるのはメリットとなります。例えば、天候が悪くて買い物に行きたくない場合や、高齢のため買い物に行くことが大変な場合などに役立つでしょう。ほかにも、テレビで紹介された食材が食べたくなったときなど、購買意欲がわいたときにすぐに注文できるのも便利なポイントです。

このように、自宅にいながら注文ができて商品を自宅まで届けてくれるのは、食品ECのメリットです。

販路の拡大が可能

食品ECのメリットは、全国にいる消費者に商品をアプローチできることです。そのため、販路の拡大に役立つでしょう。

実店舗であれば顧客の対象は、近隣のエリアに住んでいる方となります。しかし、地域によっては過疎化が進み、人口が減少し続けていることもあるでしょう。そのような地域であれば、潜在顧客を発掘しようにも困難な場合もあります。

そこで、新規顧客を獲得するために食品ECは有効な手段です。ECサイトであれば、全国の消費者に対して商品をアピールできるためです。例えば、青森県に住んでいる方が鹿児島県のECサイトで購入されるといったように、全国の消費者と企業をつないでくれます。

自社の商売エリアを近隣から全国に広げることで、多くの消費者に自社商品を知ってもらう機会にもなるはずです。

まとめ買いが可能

食品ECのメリットはまとめ買いが可能なことです。

スーパーで水や牛乳など、重い商品を何本も購入するのをためらった経験はありませんか。

実店舗で買い物をする際、自分が持てる量に限界があるため重い商品のまとめ買いは避けたいはずです。移動手段に車を利用されている方であっても、持ちきれないほどの量の購入は躊躇されることでしょう。

このように、実店舗で重い商品をまとめて買うのは、ユーザーにとって大きな負担となります。

そこで、食品ECの出番です。食品ECであれば自宅まで商品を配達しますので、重い商品のまとめ買いも気軽にできます。飲料水や食料などをストックしておきたい方や、買い物の負担を減らしたい方にとって、まとめ買いのしやすい食品ECは魅力があります。

在庫切れが起きにくい

食品ECのメリットは、在庫切れが起きにくいことです。

例えば、近くのスーパーに行ったのに、お目当ての商品が売り切れていて購入できなかった経験をされた方は少なくないでしょう。近くに小さなスーパーしかない方の場合は、売り切れてしまうことが頻繁にあるかもしれません。

企業からすると在庫切れの状態は、購入しようとされているユーザーを逃すことを意味します。販売機会を損失しないためにも、在庫切れを起こさないようにすることは重要です。

食品ECであれば在庫を抱えることもできるため、このような在庫切れを起きにくくできます。自社商品を欲しいと思ったユーザーに対して、在庫切れを起こさずに販売できるのは食品ECのメリットといえるでしょう。

様々な商品を展開しやすい

食品ECのメリットは、様々な商品を展開しやすいことです。

実店舗であれば、地域のニーズに合わせて商品を取り扱うことが重要です。そのため、マニアックな商品は、わずかな需要があったとしても取り扱いが難しい場合もあるでしょう。

しかし、食品ECであれば全国のユーザーを対象としているため、マニアックな商品であっても売れる可能性は十分にあります。

また、ご当地グルメの商品など、その地域でしか入手できない商品を取り扱うことも喜ばれるはずです。
また、実店舗では店舗のスペースをうまく活用して利益の最大化を目指すため、どうしても陳列できる品数に限りがあります。しかし、ECサイトであれば陳列スペースはいくらでも作り出せるので、実店舗では取り扱えなかった商品であっても積極的に展開できます。

ユーザーにとっても、いつものスーパーにはない変わった商品を発見できるのは楽しみにつながるでしょう。

食品ECの成功ポイント

食品ECの成功ポイント
食品ECの成功ポイント

食品ECで成功するためのポイントは、スーパーやコンビニの利便性に負けないような付加価値を生み出すことです。そのためには、以下の5つのポイントが有効となります。

限定品・名産品を販売する

例えば、ご当地グルメのようにその地域に行かなければ食べられない食品は、なかなか訪れる機会のない方にとって興味をひきやすいです。

日本全国に限定品や名産品がありますので、それらを魅力的に紹介することで購買意欲をさらに引き出すことが可能です。

オリジナリティのある商品を開発する

ECサイトでしか注文できない商品があると強みになります。競合店との差別化を図る意味でもオリジナリティのある商品を開発しましょう。

例えば、一人暮らしの方に向けた食材セットや、プロが監修したこだわりの冷凍食品などといった具合です。ほかにはないコンセプトを設定することが、個性的なECサイトにするのに役立ちます。

重い商品を取り扱う

ユーザーは、実店舗でお米や水・お酒といった重い商品を購入して持ち運ぶのに負担を感じています。ユーザーが負担に感じるような重い商品をまとめ買いできるようにすることで、ECサイトの利便性を高められます。

また、まとめ買いできるようにすることで、客単価を向上させる効果も期待できるでしょう。

リピート率を高める

食品ECは商品を手に取れないためユーザーが不安を感じることが問題点です。しかし、1度購入したユーザーであれば、その不安を乗り越えていることになりますので、2度目以降も購入してくれる可能性は高いといえるでしょう。

新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客に対してしっかりとアピールすることで安定した売り上げを確保できるようになります。同様に、定期購入などの仕組みを導入するのも成功するためのポイントです。

ECサイトの利便性を高める

食品ECで成功するためのポイントは、ECサイトの利便性を高めることです。ユーザーが使いづらいと感じたECサイトは離脱してしまうためです。

例えば、「ショッピングカートからスムーズに購入ができるか」「リンク切れがないか」「関連商品の訴求ができているか」などについて、定期的に確認をしましょう。

ECサイトで食品を販売するために必要な許可・資格

ECサイトで食品を販売するために必要な許可・資格
ECサイトで食品を販売するために必要な許可・資格

生鮮食品や加工食品は人の口に入るため、徹底した衛生管理が必要となります。不適切な製造・管理方法の食品が流通すると、人体に被害の出る恐れもあるためです。

そのため、無許可・無資格ではECサイトを開業できません。
ECサイトで食品を販売するためには、「食品衛生法に基づく営業許可」と「食品衛生責任者」の資格が必要です。

『食品衛生法に基づく営業許可』

食品衛生法に基づく営業許可とは、飲食により健康被害を発生させる可能性のある業種が営業するために、都道府県の定める施設などの基準を満たすことです。

例えば、食品を手作りしてECサイトで販売したい方や、食品の製造・販売をしたい方は許可が必要となります。

ただし、すでに加工されている商品を仕入れて販売する場合は許可が不要なケースもあります。ECサイトでの販売で許可が必要かどうかは、管轄の保健所に確認しましょう。

『食品衛生責任者』

食品衛生法により、営業許可や届出の対象となる施設に対して食品衛生責任者を配置することが定められています。つまり、食品ECを開業するためにも食品衛生責任者の配置が必要です。

食品衛生責任者になるためには、以下の項目に該当する必要があります。

  1. 栄養士、調理師、製菓衛生師などの有資格者
  2. 食品衛生責任者養成講習会の受講修了者

上記の1・2のどちらにも該当しない場合は、食品衛生責任者養成講習会を受講して資格を取得しましょう。

食品ECサイトで実装すべきオススメの機能

食品ECサイトで実装すべきオススメの機能
食品ECサイトで実装すべきオススメの機能

食品サイトと相性の良い機能は「定期購入」「ギフト対応」「まとめ買い」です。これらの機能を実装しておくことで、リピーターの獲得などに役立つでしょう。以下よりオススメの機能について簡単に紹介します。

定期購入

定期購入は、お米やお酒など定期的に消費する商材を取り扱う際に重要な機能となります。

ユーザーが定期購入してくれると次回以降の売り上げの見込みも立つため、安定した運営がしやすくなるためです。リピーターを囲い込むためにも、実装するのがオススメです。

ギフト対応

食品は、お歳暮シーズンやお祝い事などでギフトとして贈られることもあります。その際に、ギフト対応をしていないとユーザーを他のECサイトに奪われることになりかねません。

また、ギフト対応することで送付先のユーザーも商品を知ってもらえます。認知度を高めるためにも有効な手段となるでしょう。

まとめ買い

商品を複数同時に購入すると割引される「まとめ買いの割引機能」があると便利です。まとめ買いを促すことで客単価を高められますし、ユーザーの利便性も高められるためです。

サイト開設の手順・流れ

食品ECを開設する場合の手順や流れは、一般的なECサイトよりも多くの許可・届出・資格が必要です。これらの手続きを確実にすることが重要なポイントとなります。

サイト開設までの手順・流れは以下のとおりです。

1.営業許可の申請・許可などの準備

先に紹介したように食品ECを開業する場合は「食品衛生法に基づく営業許可」「食品衛生責任者の資格」が必要となります。また、取り扱う商材によっても必要な免許や届出があります。

例えば、お酒であれば「通信販売酒類小売業免許」が必要となりますし、「魚介類販売業」「食肉販売業」などでも届出が必要です。不明な点があれば、管轄の保健所に相談すると良いでしょう。

2.予算などからECサイト構築方法を選択

ECサイト構築方法は、ASP・オープンソース・パッケージ・フルスクラッチなどから予算に応じて選択します。この際のポイントは、食品ECにあると便利な「定期購入」「ギフト対応」「まとめ買い」の機能が搭載されているかです。

3.商品の仕入れルート・製造方法の確立

商品を仕入れる場合は安定して商品を確保できるように、仕入れルートを確立する方法があります。製造する場合は製造計画を作成すると良いでしょう。

4.ECサイトに販売商品の登録

ECサイトに販売商品を登録して、商品が販売できる状態にします。商品が手に取れないデメリットをカバーするために、複数の商品画像や詳細な情報を登録しましょう。

5.運営開始

必要な許可・資格・届出などの手続きが完了し、ECサイトの構築・商品情報の登録が終了するといよいよ食品ECの運営開始です。

ECサイトはフロント業務・バックヤード業務など、業務が多岐にわたります。売上目標を早期に達成するためには、適宜、業務をアウトソーシングに委託するのもオススメの方法です。

食品ECで販路拡大しよう!ポイントは課題の克服方法

食品ECで販路拡大しよう!ポイントは課題の克服方法
食品ECで販路拡大しよう!ポイントは課題の克服方法

食品をECサイトで販売するには課題があるため、食品はEC化の進んでいないカテゴリです。

しかし、食品ECでも成功しているECサイトもあります。やり方次第で新規顧客の獲得や販路拡大、自社商品の認知度アップにつながるでしょう。

食品ECで成功するためのポイントは、ユーザー目線に立つことや、ユーザーのニーズを叶えることです。つまり、顧客満足度を高めてリピーターを獲得することが長期的に成長するコツです。

食品ECで販路を拡大したい方にとっては、EC化率の低いうちがチャンスともいえます。この機会にECサイトに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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