Webサイトを構築する際に、CMS(Contents Management System)というシステムがよく用いられます。
世の中には様々なCMSがありますが、その中でも世界で最も使われているのがWordPressです。
WordPressは、Webサイトの中でもブログやニュースサイトを作る際に利用すると聞いたことがある方も多い方思います。
しかし、WordPressでECサイトを構築すると聞くと
「WordPressでECサイトを構築することができるのか」
「ECサイトの構築でWordPressを使用する必要やメリットはあるのか」
などと考える方も少なくはないのではないでしょうか?
実際WordPressには、Webサイトだけでなく、ECサイトの構築に役立つ便利なテーマやECサイトに必要な機能を追加できる便利なプラグインが提供されています。
この記事では、WordPressでECサイトを構築する方法や、メリット・デメリットに関して以下の6つの項目で詳しく解説していきます。
ECサイトをどのような方法で構築しようか迷っている方やWordPressが提供しているECサイトに便利な機能についてよく知らないという方は是非参考にしてみてください。
ECサイトをWordPressで構築する方法
WordPress でECサイトを構築する場合は、主に以下の2つの方法があります。
- プラグインの導入
- 外部サービスの組み込み
ここではそれぞれの方法について詳しく解説していきます。
方法1:プラグインの導入
ECサイトを構築する際には、カート機能や決済機能など様々な機能を盛り込む必要があります。
一から自身でECサイトに必要な機能を盛り込むとなると専門的な知識が必要となるため、初心者にとっては非常に大変ですが、そこで役に立つのがプラグインなのです。
プラグインとは、拡張機能のようなもので、利用することで既存のサイトに便利な機能を追加できたり、登録できたりとサイトを自分好みにカスタマイズすることができます。
WordPressでは、以下のようなECサイトの機能を簡単に追加できるプラグインがオープンソースで提供されています。
- WooCommerce(ウーコマース)
- Welcart(ウェルカート)
プラグインを利用することで、ECサイトに適したデザインはもちろんのこと、決済システムやカートシステムなどECサイトに必須の機能を簡単に追加することができます。
方法2:外部サービスの組み込み
プラグインを導入する以外にも、ECサイトに必要な機能を備えた外部サービスを組み込む方法もあります。
外部サービスとしてよく利用されるのは、「Base」や「カラーミーショップ」などでよく知られている「ASPカート」と呼ばれるクラウド上のサービスです。
ASPカートは、月額制で登録することでサイトデザインや決済サービス、配送サービス、サーバーに至るまでECサイトに必要な機能を低コストで利用できます。
ASPカートでは、ECサイトの構築で必要となる機能の追加だけでなく、セキュリティシステムやアップデートまでサービス提供会社が行ってくれます。
したがって自身で導入するプラグインよりもセキュリティが高いというメリットもあります。
WordPressで構築するメリット
ここまでWordPressでECサイトを構築する方法について解説してきましたが、WordPressで構築するメリットがあるのかと考える方もいるのではないでしょうか。
WordPressを利用してECサイトを構築することには以下の4つのメリットがあります。
- サイト構築・管理の難易度
- コストの削減になる
- 拡張機能(プラグイン)の追加
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
その1:サイト構築・管理の難易度
通常サイトを構築する際、HTMLやCSSのようなコーディング技術や、サイトのシステム構築に必要なプログラミング技術など、専門的なIT技術が必要となります。
WordPressでは、ITに関する専門的な技術がなくても簡単にサイト制作ができるような便利なサイトテーマやプラグインが公開されているため、初心者でも簡単にサイトの構築ができます。
直感的にサイト構築できるようなテンプレートも用意されているため、文字を入力する、画像を挿入するなどの簡単な操作で自分好みのサイトをデザインできます。
また、商品紹介に使う文章や画像に関してもWordPressを利用することで一元的に管理ができるため、サイト管理の難易度が低いというメリットもあります。
その2:コストの削減になる
WordPressでは、IT技術のない初心者でもサイト構築や、サイトの運営・管理が簡単にできます。
したがってサイト構築や運営・管理を専門の業者に外注をしなくてもよくなり、コストを削減できるようになるのです。
また無料で使うことができるサイトテーマや便利なプラグインが用意されているため、コストを割かなくてもある程度便利な機能を盛り込んだサイトを構築できます。
その3:拡張機能(プラグイン)の追加
WordPressではECサイトに必要なカート機能や決済機能だけでなく、セキュリティやサイトスピードの上昇にも役立つ拡張機能(プラグイン)が用意されています。
用意されている拡張機能(プラグイン)を追加するだけで、簡単に様々な機能を実装できることは、WordPressを利用する大きなメリットといえるでしょう。
その4:SEO対策による集客
WordPressはもともとブログのようなWeb上で情報を発信するためのサイトを構築するのに適したプラットフォームです。
したがってECサイトで販売している商品やショップに関してSEO対策を施した記事を作成して、ショップやブランドを多くのユーザーに認知してもらうこともできます。
つまりまたブログで集客をして、ECサイトに誘導するというようないわゆるコンテンツマーケティングを行うことができるようになるのです。
またECサイトでは、商品の実物を確認して購入することができないため、商品購入時に不安を持つユーザーも多く見受けられます。
商品やショップの詳細をブログ記事で細かく紹介することでユーザーとの信頼を構築できる点でも、結果として購買の上昇につながります。
WordPressで構築するデメリット
WordPressでECサイトを構築することのメリットは非常に大きいですが、以下の3つがWordPressを利用する際のデメリットといえます。
- セキュリティ対策の必要性
- 決済方法の制限
- カスタマイズ・機能実装に知識が求められる
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
その1:セキュリティ対策の必要性
ECサイトでは、住所や決済情報などユーザーに関する重要な情報を扱うことになります。
万が一、個人情報が漏洩してしまうとユーザーからの信頼を著しく失ってしまい、ECサイトを運営していくことも困難になってしまいます。
したがって、特にWordPressを利用して自前でサイトを構築する場合は、セキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。
WordPressでは、重要な情報を暗号化したり、大切に保管したりするための機能を備えたプラグインを利用することでセキュリティを強化することができます。
またWordPressや追加しているプラグインのバージョンが古いと情報漏洩の原因となってしまうため、必ず最新のバージョンのものを利用するようにしましょう。
その2:決済方法の制限
使用しているプラグインによっては、対応する決済方法が限られている場合があります。
電子マネーやサブスクライブ購入など日々様々な決済手段が登場しています。
しかし導入しているプラグインが常に新しい決済手段にすぐに対応できるとは限らないため、導入したい決済手段を導入できない可能性があります。
プラグインが原因でECサイトにてユーザーがよく利用する決済手段に対応できないと、機会損失に繋がる恐れがあるのです。
その3:カスタマイズ・機能実装に知識が求められる
WordPressでは、プラグインや無料で利用できるテーマを活用することで、ECサイトで必要とされる基本的な機能は実装することができます。
しかし、ニーズやブランドイメージに合わせてサイトデザインを細かくカスタマイズしたい場合は、HTML/CSSといったコーディングスキルが必要になります。
またプラグインなどで足りない機能を追加したい場合は、PHPのようなプログラミングスキルも必要となるのです。
自社で細かくECサイトをカスタマイズすることができるスキルを持っている人材がいない場合は、他社に外注しなければいけなくなります。
ECサイト構築の際に必要な機能
ECサイト構築の際に必要な機能は、フロントエンド機能とバックエンド機能の2つに分類することができます。
フロントエンド機能は、ユーザーが直接利用するために必要となる機能であるため、ユーザーの利便性を損なわないように設計することが大切です。
バックエンド機能は、ユーザーから見えない場所で機能しているシステムの総称であり、ECサイトの運営や業務の効率化に役立ちます。
ここではECサイトに必要な機能として以下の6つについて詳しく解説していきます。
- カートシステム
- 商品管理
- 顧客管理
- 決済機能
- セキュリティシステム
- 問い合わせ機能
それではそれぞれの機能を見ていきましょう。
その1:カートシステム
カートシステムは、ユーザーが購入したい商品をネット上の買い物かごにまとめておくためのシステムであり、ECサイトでは必ず必要となるフロントエンド機能の一つです。
ユーザーが商品を検索し、購入を選択することで商品がカートに追加されます。
カートシステムは、ユーザーがカートに追加した商品をただ単にまとめておく機能を備えておけばいいという訳ではありません。
選択された商品や決済情報がわかりやすく表示したり、商品を削除する機能をつけたりとユーザーの利便性を損なわないように様々な工夫を施す必要があります。
またユーザーがカートにいれたまま放置してしまう「カゴ落ち」を防ぐために、決済までの過程もわかりやすく表示しておくと、なお良いでしょう。
その2:商品管理
ECサイトでは、様々な商品を扱うことになるため、一つ一つの商品情報を管理する必要があります。
ECサイトの商品を管理するシステムを、その名の通り商品管理機能といいます。
商品管理機能には、商品の注文や配送を管理する受注・配送管理機能、ショップで抱えている在庫数を管理する在庫管理機能という主に2つの機能があります。
つまり商品管理機能は、ECサイトの運営の効率を高めるためのバックエンド機能として役立つシステムといえます。
ECサイトでは、商品を発送する工程が必ず発生するため受注・配送管理機能に特に気を遣うことが重要となります。
商品がユーザーの元に確実に配送されないと、ショップの信頼が低下してしまったり、再配送などの無駄な作業の発生によって機会損失につながってしまったりしてしまうのです。
その3:顧客管理
顧客管理機能は、ユーザーを性別や年齢別、属性別に管理したりすることで、ユーザーの囲い込みやユーザーへの訴求に役立つバックエンド機能です。
ECサイトで商品の購入を行うユーザーは、氏名や住所、メールアドレスや電話番号などの連絡先を必ず登録することになります。
ユーザーに関する細かな情報を顧客管理機能で管理し、わかりやすい形で整理しておくことはサイトの運営の効率化だけでなく、宣伝をする際にも役立ちます。
例えば、連絡先と過去の購入商品を紐づけて管理しておくことで、ユーザーが好む商品に関するお得なキャンペーン情報や発売情報などを、ダイレクトに届けられます。
このように顧客管理機能は、ECサイトの円滑な運営だけでなく、売上の更なる上昇にも欠かすことができない機能なのです。
その4:決済機能
決済機能は、ユーザーがカートに入れた商品を購入する際に、代金の処理を行ったり、支払い情報を保管したりするために必要なバックエンド機能です。
昨今、従来からある銀行振り込みや代金引換だけでなくクレジットカードや、電子マネー、サブスクライブ購入など決済機能が多様化しています。
ユーザーが利用する決済方法に対応をしていないと、利便性の低下につながり、ユーザーが商品を購入しないまま離脱してしまう「カゴ落ち」のような機会損失につながる可能性があります。
したがって、ユーザーが利用する可能性の高い決済手段にはできる限り対応しておく必要があります。
ECサイトでは、主に以下のような決済方法が利用されます。
- クレジットカード決済
- 代引き
- 銀行振込
- コンビニ支払い
- 電子マネー決済
その5:セキュリティシステム
セキュリティシステムとは、個人情報を暗号化して、大切に保管するためのバックエンド機能を備えたシステムです。
ECサイトでは顧客情報などの重要な情報を扱うため、セキュリティシステムの実装は必須です。
個人情報の漏洩はユーザーからの信頼の低下につながるため、ECサイトを安全に、そして円滑に運営していくためにはセキュリティを確保することは非常に大切なのです。
その6:問い合わせ機能
ユーザーからの問い合わせを受け付けるフォームが設置されているECサイトを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
お問い合わせ機能があるとユーザーの質問はお問い合わせフォームに全て送信されるため、ショップの運営側は効率的に質問に対して対応することができるのです。
また、ECサイトでは実際に物を手に取って商品を購入することができないため、購入時に商品に関して不安に感じる方も多く見受けられます。
また配送状況によっては、商品の配送に時間がかかる場合があり、少しの遅れでもユーザーに不安を感じさせてしまう場合があります。
お問い合わせ機能がしっかり備わっていると、ユーザーからの質問に対して素早く対応することができるため、ショップの信頼性を上昇させることができます。
お問い合わせ機能があるとユーザーの質問はお問い合わせフォームに全て送信されるため、ショップの運営側は効率的に質問に対して対応することができるのです。
ECサイト構築の際におすすめなWordPressのテーマ
WordPressのテーマとは、Webサイトのデザインや機能がテンプレート化されたもののことをいい、WordPressでは、サイト構築に便利な様々なテーマが用意されています。
ここではECサイトを構築する際にオススメなテーマを以下の3つほど紹介していきます。
- Ankle
- Fukasawa
- YITHプロテオ
それではそれぞれのテーマについてみていきましょう。
その1:Ankle
一つ目はAnkle(アンクル)という株式会社デザインプラスが提供している有料(19,800円)のサイトテーマです。
AnkleはECサイトのプラグインとして知られているWoocommerce専用のデザインテンプレートであるため、ECサイトと相性がいいことは言うまでもありません。
Ankleでは、ヘッダーなし、ヘッダースライダー、フル幅ヘッダースライダーという3つのタイプのトップページが用意されています。
トップページの種類も豊富で、サイトデザインもシンプルであるため、アクセサリーやコスメ、雑貨などライフスタイルに寄り添う商品の販売に向いているテーマです。
またPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル表示にも対応しています。
その2:Fukasawa
二つ目はFukasawaという無料で利用できるサイトテーマです。
Fukasawaは、写真家やコレクターに向けたミニマルなデザインが特徴的で、シンプルなデザインの商品情報を強調したECサイトを制作するのに向いているテーマです。
1~3カラムのデザインで商品情報を表示することができるため、商品一覧ページは3カラム、商品詳細は1カラムのデザインというような使い分けが可能です。
またPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル表示にも対応しています。
その3:YITH Proteo
三つ目はProteo(プロテオ)という無料で利用できるサイトテーマです。
Proteo はAnkleと同様ECサイトのプラグインとして知られているWoocommerceと連携することができるため、ECサイト構築時には非常に役立ちます。
Proteoは、シンプルでモダンなデザインが特徴的で、アパレル商品など商品の見た目を強調したECサイトを制作するのに向いているテーマです。
Proteoでは、Woocommerceで提供されているECサイトで必要な機能を追加できることはもちろんのこと、ロゴやヘッダーレイアウトのカスタマイズを無料で行うことができます。
またPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル表示にも対応しています。
ECサイトを構築する際はWordPressを利用すべし!
この記事では、まずECサイトをWordPressでどのように構築できるのか、具体的な方法を解説しました。
そしてWordPressでECサイトを構築するメリット・デメリット、そして実際にECサイトで使えるオススメなテーマついてまで詳しく紹介してきました。
WordPressはWebサイトだけでなく、ECサイトの構築に便利な機能が備わっており、低コストで簡単にサイト構築をすることができます。
しかし、WordPressでECサイトを構築すると一言で言っても、構築方法やサイトデザイン、どの機能が必要かどうかは様々です。
ショップブランドやイメージ、販売する商品に合わせてサイトデザインや機能の追加方法を選択することがオススメです。
またサイトを構築する際は、WordPressとその他のサービスを利用して構築方法を比較して、自身のサイトに合った方法を慎重に選択することが大切です。
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