ネットショップはASPの登場により、誰にでも簡単に構築できるようになりました。そのため、ネットショップにチャレンジしてみたいと考えている方もいるでしょう。しかし、ネットショップを開業する際には知っておくべき基礎知識があります。例えば、「取り扱う商材によっては手続きや免許が必要になる」というような例が挙げられます。
基礎知識がないまま開業してしまうと、トラブルの原因となり、途中で挫折したり、諦めてしまったりするかもしれません。
本記事では、ネットショップ開業に必要な基礎知識から成功のポイントに至るまで徹底解説します。ネットショップを始めてみたい方は、ぜひ参考にしてください。
実店舗とネットショップの違い
ネットショップを開業するためには、まず実店舗との違いを理解することから始めましょう。
実店舗とネットショップとの違いを明確にすることで、ネットショップにどのようなニーズがあるのかを判断する材料にもなるためです。また、実店舗とネットショップには、どちらも一長一短があるため、どちらかが優れているということではありません。自分の望むビジネススタイルが、本当にネットショップで実現できるかも確認してください。
それでは、実店舗とネットショップの5つの違い、「営業時間」「立地」「接客方法」「商品の選び方」「費用」について詳しく解説します。
営業時間
実店舗はスタッフを常駐させる必要があるため、営業できる時間には限りがあります。多くの場合、日中のみの営業になるでしょう。ネットショップではネット上にサイトがあるため、スタッフを常駐させる必要がありません。24時間・365日営業できるのが大きな違いになります。お客さまにとっても都合の良い時間に、買い物できることがネットショップの魅力です。
立地
実店舗を開業する場合は、お客さまが来店しやすい場所や大通りの近くなど、人が多く集まりそうな立地を選ぶでしょう。立地場所の良し悪しが売り上げに大きな影響を及ぼすためです。また、営業する場所のニーズや地域性も考慮しなければいけません。ネットショップでは全国どの場所からでも開業できます。事業を展開する地域にかかわらず、全国のお客さまに向けて商品を紹介できるのが魅力です。このような、事業を行う立地面での違いがあります。
接客方法
実店舗とネットショップの違いは接客方法にあります。実店舗では、お客さまに対してスタッフがコミュニケーションをとりながら商品を紹介できます。お客さまとスタッフ・お店との信頼関係を構築しやすいのが魅力です。ネットショップでは、お客さま自身がネットショップの商品ページを参考にして、商品を購入するかどうかの判断をします。そのため、お客さまからの注文がファーストコンタクトになることも多く、実店舗のようなマンツーマンによる接客方法は困難です。
商品の選び方
お客さまが購入する際の商品の選び方にも、ネットショップ・実店舗で違いがあります。それは、商品を手にとって確認できるかどうかです。実店舗であれば商品を手にとり、確認してから購入できます。しかし、ネットショップでは商品を手にとって確認できません。そのため、お客さまに商品の情報が正確に伝わらないと、商品到着後に「思っていたのと違う」「イメージと違う」といったクレームになることがあります。
費用
実店舗とネットショップの違いは、開業するための初期費用や、運営するための費用が異なります。ネットショップは初期費用・月額費用をかけずに開業することもできますが、実店舗ではそうはいきません。店舗を確保するために、店舗の賃貸料金やテナント代が発生するためです。また、店舗にはスタッフが常駐するため、人件費も必要になります。
ネットショップのメリット・デメリット
ネットショップと実店舗の違いについて理解を深めたところで、さらにネットショップのメリット・デメリットについて掘り下げていきます。
メリット | ・お客さまはいつでもどこでも商品を購入できる ・費用が比較手安価で、コストパフォーマンスが高い ・たくさんの人に見てもらえる ・データ分析しやすい |
デメリット | ・お客さま一人ひとりに合わせた接客をするのが難しい ・商品の魅力を正しく伝えにくい ・競合店が多く、価格競争になりやすい ・多少Webデザイナーやマーケティングの知識が必要 |
ネットショップのメリット
ネットショップには実店舗との違いから、ネットショップならではのメリットがあります。多くの企業・個人がネットショップを開業するのも、これらのメリットに魅力を感じるためでしょう。以下より4つのメリットについて詳しく解説します。
お客さまはいつでもどこでも商品を購入できる
ネットショップのメリットの1つ目は、お客さまはいつでも商品を購入できる点です。ネットショップと実店舗の違いで説明したように、ネットショップは24時間・365日営業できます。そのため、お客さまは時間に関係なく自分の都合に合わせて商品を注文できます。例えば、就寝前にスマホからネットショッピングを楽しむ方もいるでしょう。
また、どこからでも注文できるのがネットショップのメリットです。さらにいえば、海外であっても同様に注文できるのが魅力といえるでしょう。その利点を生かして、越境ECのように世界で活躍するネットショップもあるくらいです。
費用が比較的安価で、コストパフォーマンスが高い
店舗側にとってのネットショップのメリットは、運営するための費用が比較的安価なことです。実店舗であれば、場所代・テナント代・電気代・人件費などの必要な経費がネットショップではかからないためです。
また、BASEやSTORESのように初期費用・月額料金が無料のサービスの登場で、さらに低リスクで開業にチャレンジできるようになりました。このように、イニシャルコスト・ランニングコストが安いため、コストパフォーマンスに優れているのもメリットです。
たくさんの人に見てもらえる
スマホの普及により、多くの方がいつでもネットショッピングを楽しめるようになりました。そのため、ネットショップであれば、全国のネットユーザーから店舗を見てもらえる可能性があります。これは実店舗にはないメリットです。
さらに、越境ECのように全世界のユーザーを対象にできるのも、ネットショップならではの魅力でしょう。
データ分析しやすい
ネットショップはアクセス解析などによりデータ収集しやすく、データ分析しやすいことがメリットです。「どのサイトから訪問しているのか」「Web広告からの集客は期待どおりか」「コンバージョン率は低くないか」など、データから分析・改善することで、さらにコストパフォーマンスを高められるでしょう。
ネットショップのデメリット
ネットショップのメリットについて解説してきましたが、デメリットも存在します。ネットショップが不得意とする分野もありますので、開業する前に以下の4つのデメリットについても理解を深めましょう。
お客さま一人ひとりに合わせた接客をするのが難しい
ネットショップでは、サイトに訪れてくれたお客さまにコンテンツを通して商品を紹介します。そのため、スタッフとお客さまがコミュニケーションを交わすことがほとんどありません。画一的なサービス提供になりやすく、お客さま一人ひとりに合わせた接客が困難なことがデメリットです。
商品の魅力を正しく伝えにくい
ネットショップで商品をお客さまに紹介する方法には、テキスト・写真・動画などがあります。これらを駆使することで商品の魅力を伝えられますが、お客さまに正しく伝わっているかどうかは別問題です。例えば、お客さまのディスプレイ環境によって色味が異なって伝わる場合もあります。また、想像していたサイズとは違うこともあるでしょう。
ネットショップではお客さまが手にとって商品を確認できないため、このような商品に対する認識の不一致が起こってしまいます。これがもとでクレームにつながることもありますので、できる限り正しく伝わるような工夫が必要です。
競合店が多く、価格競争になりやすい
ネットショップの魅力は初期費用・月額費用を抑えながら開業できることです。開業のためのハードルは低く、誰でも開業できるともいえます。そのため、ネットショップに参入する企業・個人があとを絶たず競合店の多さがデメリットです。競合店が多いことにより差別化を図ることが難しくなり、価格競争に巻き込まれやすいのもネットショップのデメリットです。
多少Webデザインやマーケティングの知識が必要
ネットショップのデメリットとしては、商品の知識だけでは不十分なことです。例えば、商品ページを見栄え良くするためには多少なりともHTML・CSSの知識が必要になります。プロ並みとまではいかなくてもWebデザインについて知識がないと、商品を効果的に訴求できないためです。
また、ネットショップでは多数の競合店がひしめき合っているため、集客するためにマーケティングの知識が欠かせません。ネットショップを成功させるためには、運営しながら様々な知識を身につける必要があります。
ネットショップ開業までの手順
「ネットショップ開業は初心者にとって難しいのではないか」と感じる方もいるかもしれませんが、以下の9つの手順を踏むことで不慣れな方でも開業できます。
- 事業計画を立てる
- 商品を決める
- 商品の仕入れ方法・製造方法を決める
- コンセプト・ショップ名を決める
- ネットショップを構築する
- 決済方法を決める
- 配送方法を決める
- 商品登録する
- 集客する
ここでは、初心者の方でもネットショップ開業できるように、9つの手順について詳しく解説します。
事業計画を立てる
ネットショップを開業するためには、まず事業計画を立てましょう。
事業計画は、事業を行う上で重要な戦略です。具体的には、1年間の売上目標、1年間に必要な資金などをまとめてください。運営するために必要な資金の流れを明確にできると、商品を仕入れる量や月々にかけられるネットショップの維持費などを逆算できるためです。
また、事業計画をせずに安易に始めてしまうと、思わぬところでつまずいたり、失敗したりする原因になります。例えば、過度な仕入れで過剰在庫になり資金がショートしてしまっては、事業を継続できなくなるでしょう。
このようにならないためには、スモールビジネスを意識しながら事業計画を練るのがおすすめです。さらに、会社経営などの際に必要な事業計画書を作成できれば、ネットショップの成功率を高めることにもつながります。
商品を決める
事業計画を立てると、次に取り扱う商品を決めます。
事業計画において割り出した仕入れるために使える予算内で、ニーズのある商品を確保しましょう。また、商品を決定する際に重要なことは、市場にニーズがあるかどうかです。どれほど素晴らしい商品であったとしてもニーズがなければ思うような成果につながりません。商品を決定する際には十分な市場調査が必要です。
市場調査の方法としては、競合店の取扱商品や、楽天・Yahoo!ショッピングなどのランキング、卸業者に売れ行きを確認するなどの方法があります。
実店舗を運営している方も、ネットショップと実店舗での売れ筋が異なることも珍しくないため、市場調査を怠らないようにしましょう。
商品の仕入れ方法・製造方法を決める
取り扱う商品が決定したら、次は商品を確保する方法を検討します。型番商品であれば、仕入先の検討になりますし、自社開発した商品であれば製造方法の決定になるでしょう。
仕入れる場合は、仕入れ値が安いことだけではなく、安定して供給してもらえるかも重要なポイントです。複数の仕入れルートを確保しておくことで、在庫切れによる機会損失を防ぐことにもつながります。また、自社開発する際は、初めから製造コストを抑えようとして過剰在庫を抱えないように注意しましょう。どちらの方法であっても、スモールビジネスから始めることがポイントです。
コンセプト・ショップ名を決める
販売する商品が具体的に決まったら、次はコンセプトを決定します。
コンセプトとは、そのショップの根幹となる概念のことです。コンセプトを設定することで、商品を追加する際や、ショップのデザインを決める際に価値観がブレるのを防げます。すると、デザイン・取扱商品に一貫性があるため統一感のあるショップになりやすく、リピーター・ファンの獲得につながるでしょう。
コンセプトが設定できたらショップ名を決めます。ショップ名は、どのように決定しても自由ですが、コンセプトがわかりやすいショップ名や、覚えやすいショップ名がブランディングする上で役立ちます。
ネットショップを構築する
次の手順は、ネットショップの構築です。
自前でネットショップを構築する方法もありますが、専門的なスキル・知識が必要になるため不慣れな方には難しいでしょう。そこで、後ほど詳しく解説しますが、BASEやSTORESのような無料ASP・有料ASPを活用する方法をおすすめします。リスクを抑えながらネットショップを短期間で構築できるためです。
ASPを利用する以外にも、大手ショッピングモールに出店するのもネットショップ開業するための方法です。初期費用・月額料金・メリット・デメリットを比較して、どのサービスでネットショップを構築するか検討しましょう。
決済方法を決める
ネットショップの構築が完了すると、導入する決済方法を検討します。
決済方法は、お客さまが望む方法を網羅しておくことが重要になります。例えば、クレジットカードで支払いたいのに、クレジットカード払いに対応していなければ他のサイトで購入するためです。
そこで、どの決済方法を導入すれば良いかの判断基準として、総務省が令和2年に調査した「インターネットを使って商品を購入する際の決済手段」を紹介します。
支払い方法 | 利用割合 |
クレジットカード決済 | 75.0% |
コンビニエンスストアでの支払い | 36.5% |
代金引換 | 24.6% |
銀行・郵便局の窓口・ATMでの振込・振替 | 22.5% |
インターネットバンキング・モバイルバンキングによる振込 | 16.7% |
通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せによる支払い | 15.9% |
電子マネーによる支払い | 15.7% |
上記の表からもわかるように、「クレジットカード決済」が最も利用されている支払い方法です。そのため、ネットショップを運営する際にはクレジットカード決済の対応が必要不可欠になるでしょう。
配送方法を決める
配送方法は、取り扱う荷物のサイズや量によって最適な運送会社が異なります。ネットショップで主に利用されている運送会社は、以下の5社です。
運送会社 | 特徴 |
日本郵便 | ・全国の郵便局を窓口として利用可能 ・レターパックに対応 ・生鮮食品も配達可能 |
ヤマト運輸 | ・送料の設定が比較的安価 ・ネコポスに対応 |
佐川急便 | ・ハンガー便・チャーター便など多様な配送手段を提供 ・170サイズの大きな商品にも対応 |
西濃運輸 | ・大型荷物に対応可能 ・法人向けの運送会社 |
福山通運 | ・法人契約に特化した「パーセルワン」 ・法人向けの運送会社 |
運送会社が決まると、利用できる配送方法も決まります。 例えば、日時指定ができたり、メール便に対応できたりと提供しているサービスに違いがあるためです。
この段階で荷物の送料が決定するため、お客さまに負担してもらう送料は決める必要があります。判断が難しい部分ですので、送料の決め方について詳しく解説します。
送料の決め方
お客さまに負担してもらう送料の決め方は、以下の3つの方法があります。これら3つの中から運営スタイルに適した方法にすると良いでしょう。
・全国一律料金にする方法
例えば全国一律700円などのように、送付先の住所にかかわらず費用を一定にする方法です。お客さまにとってはわかりやすく、遠方のお客さまにとっても負担がありません。その代わり、実費が超えてしまう場合はストア側の負担になるため注意が必要です。
・配送地域別に送料を分ける方法
配送先の地域に合わせて送料を分けることで、送料の実費をお客さまに負担してもらう方法です。ストア側にとっては送料の負担が減るものの、お客さまが割高と感じる可能性もあります。
・送料無料にする方法
送料を含んだ商品価格の設定にすることで、送料無料にする方法です。他にも一定金額以上になると送料無料になるサービスもよく導入されています。お客さまの送料による負担感をなくせるため、かご落ちを予防するのに役立ちます。
商品登録する
ここまでの手順が完了すると、あとは商品を登録することで販売できる状態になります。商品の紹介文、魅力的な商品の写真など、様々な情報を商品ページに掲載することで、多くのお客さまが興味を持つようになるでしょう。
この商品登録の手順で重要になるのは、販売価格の設定です。販売価格によって売り上げが大きく変わることもあるためです。そこで、販売価格の決め方について紹介します。
販売価格の決め方
商品の販売価格を決めるには、以下の3つの方法があります。
・原価から販売価格を決定する
商品の仕入れ値・製造費用などの原価から販売価格を算出する方法です。例えば、仕入れ値が7,000円の商品に、30%の粗利を出すために販売価格を10,000円に設定するなどです。原価から求める利益分を足すことで簡単に販売価格を設定できます。しかし、この方法は販売側の都合によるため、お客さまに受け入れられないこともあります。
・市場の売価から販売価格を決定する
2つ目の方法は、競合サイトや市場売価を参考にして販売価格を決定する方法です。市場の売価を参考にすることで、お客さまに受け入れられる価格設定にできます。この方法の問題点は、価格競争に巻き込まれやすくなることです。
・原価と市場の売価の両方から販売価格を決定する
3つ目の方法は、原価・市場の売価の両方から販売価格を決定する方法です。オリジナル商品などは原価から決定した方が良い場合もありますし、在庫を抱えてしまっている商品については市場の売価を参考にすることで在庫を処分することもできます。2つの方法を商品と在庫状況に合わせて決定することで、臨機応変に対応できるでしょう。
集客する
商品の登録が完了すると無事ネットショップの開業となります。しかし、すぐにお客さまがサイトに訪れてくれるとは限りません。ネットショップのデメリットに挙げたように競合サイトが多いため、それらのサイトに埋もれてしまい何もしなければ誰も来てくれないためです。
そこで、開業してから重要となるのが集客です。
ネットショップの集客方法には大きく分類すると、Web広告を利用する「費用のかかる方法」と、SEOやSNS運用などの「費用のかからない方法」の2つになります。
「費用のかかる方法」は、広告費が発生するものの即効性のあることが魅力です。一方、「費用のかからない方法」は無料でできる反面、効果がでるまでに時間がかかります。どちらの方法も併せて行うことで、中長期的な集客につながるでしょう。
ネットショップ構築サービスの種類
ネットショップを開業するために、どのネットショップ構築サービスを利用すれば良いのかは迷いやすいポイントです。そこで、ネットショップ構築サービスの種類について理解を深めましょう。ネットショップ構築サービスは、主に以下の5種類があります。
ネットショップ構築サービス | 特徴 | 向いている方 |
ASP型 | ・無料ASPであれば、初期費用・月額費用が無料で構築できる。 ・コストを抑えられる一方で、デザイン・機能のカスタマイズ性が低い | ・ネットショップ運営が初めての方 ・リスクを抑えたい方 ・すぐにでも開業したい方 |
モール型ネットショップ | ・大手ショッピングモールの集客力を利用して拡販できる | ・独自ドメイン店以外にも販路を拡大したい方 ・商品開発に注力したいメーカー |
オープンソース | ・無料で利用できるソースを利用してネットショップを構築する ・制作を委託する場合は、カスタマイズ費用など100万円程度必要になる ・自前で制作するには、高度な知識・スキルが必要になる | ・独自の機能を拡張しながら、開発費用を抑えたい中小企業向け |
パッケージ | ・すでに出来上がっているパッケージを利用して必要なカスタマイズができる ・フルスクラッチよりも開発期間を短くできる | ・機能性・デザイン性を追及して思いどおりのネットショップを構築したい企業向け |
フルスクラッチ | ・自社の運営スタイルに合わせたシステムをゼロから作りだせる ・開発費用が1,000万円以上になることもあり、莫大な開発費用がかかる | ・独自サービスを展開したい、既存システムでは実現できない機能性を追加したい大企業向け |
上記の中で、費用面から個人でも挑戦しやすいのは、ASP型とモール型の2つです。以下よりASP型ネットショップとモール型ネットショップの主なサービスについて紹介します。
ASP型ネットショップ
ASP型ネットショップは、初期費用・月額費用がかからない「無料ASP」と、月額費用が発生する「有料ASP」の2種類です。それぞれの代表的なサービスは以下のとおりです。
無料ASP | ・BASE ・STORES |
有料ASP | ・カラーミーショップ ・MakeShop ・ショップサーブ |
それでは、無料ASP・有料ASPの5つのサービスについて紹介します。
BASE
BASEは、初期費用・月額費用がかからない無料ASPです。リスクなくネットショップが始められるため、個人でも挑戦しやすいASP型ネットショップといえるでしょう。多くのネットショップ運営者から支持されており、すでにBASEを利用して180万ショップ以上が開業しています。
BASEの料金プランは、以下の2種類です。
プラン名 | スタンダードプラン | グロースプラン |
月額料金 | 0円 | 5,980円 |
サービス利用料 | 3% | – |
決済手数料 | 3.6%+40円 | 2.9% |
BASEでは、売上金額からサービス利用料と決済手数料が発生する仕組みです。そのため、スタンダードプランであれば売り上げがあるまで費用が発生しません。
スタンダードプラン・グロースプランの違いは、上記の費用だけで機能性は同じです。スタンダードプランから始めて、規模が大きくなるとグロースプランへ移行するのがおすすめです。
STORES
STORESは、本格的なネットショップを運営できる無料ASPです。STORESの特徴は、月額2,178円の有料プランで使える機能が優れていることです。例えば、独自ドメインの使用・アクセス解析・送り状CSV出力・配送日時指定などがあります。
このため、本格的なネットショップを開業したい場合は、始めから有料プラン「スタンダードプラン」を利用するのも1つの方法でしょう。もちろん無料プランからリスクを抑えて開業し、サイトの規模が大きくなるとスタンダードプランに乗り換えることもできます。
STORESの料金プランは以下の2種類です。
プラン名 | フリープラン | スタンダードプラン |
月額料金 | 0円 | 2,178円 |
決済手数料 | 5% | 3.6% |
このように、各プランの料金設定がシンプルでわかりやすいのもSTORESの特徴です。月商20万円以上で、スタンダードプランを選択する方がお得になります。
カラーミーショップ
カラーミーショップは、2005年からサービスを提供している実績豊富な有料ASPです。無料プランで試せるので初めての方にも挑戦しやすい有料ASPといえるでしょう。カラーミーショップの料金プランは以下の3つです。
プラン名 | フリー | レギュラー | ラージ |
月額料金 | 0円 | 4,950円 | 9,595円 |
ディスク容量 | 200MB | 5GB | 100GB |
フリーページ | 10ページ | 10,000ページ | 10,000ページ |
決済手数料 | 全決済6.6%+30円 | クレジットカード:4.0%~ 後払い:4.0%~ コンビニ払い:130円~ 代引き決済:280円~ Amazon Pay:月額2,000円 + 3.9% 楽天ペイ:月額2,000円 + 4% LINE Pay:月額2,000円 + 3.45% PayPay:月額2,000円 + 3.45% |
「フリー」プランであれば、利用できる機能は限られてしまいますが、売り上げがあるまで費用が発生しません。無料ASPと同様の仕組みになるため、リスクを抑えたい方におすすめです。
また、レギュラープラン・ラージプランでも30日間の無料体験ができます。機能性・操作性を十分に試してからプランを選択するのが良いでしょう。
MakeShop
MakeShopは、初期費用・月額費用が必要な有料ASPです。無料サポートなどのフォロー体制が整っていることが魅力です。そのため、法人ショップから支持を集めており、すでに10,000社以上の法人ショップが導入しています。
MakeShopの料金プランは以下の2つです。
プラン名 | プレミアムプラン | MakeShop エンタープライズ |
初期費用 | 11,000円 | 110,000円~ |
月額プラン料金 | 11,000円 | 55,000円 |
決済手数料 | VISA/Master:3.19%~ JCB/American Express/Diners 3.49% 月額費用:1,100円 | VISA/Master:3.14% JCB/American Express/Diners 3.49% 月額費用:0円 |
MakeShopの特徴はネットショップの運営に役立つ機能が豊富なことです。例えば、デザインテンプレートが100種類以上、CSVの一括登録機能、クーポン機能、Instagram連携などがあります。
このような、豊富な機能で「作業の効率化」「集客力アップ」を図りたいネットショップに向いている有料ASPです。
ショップサーブ
ショップサーブは、CRMに強みがありリピーター・ファンの獲得に役立つ有料ASPです。
CRMとは、顧客関係管理を意味しており、顧客情報や閲覧履歴などから既存顧客の一人ひとりに対してアプローチをするマーケティング手法です。CRMは、リピーター・ファンの獲得に役立ちます。また、豊富なAPIによるカスタマイズ性の高さもショップサーブの特徴です。
料金についてですが、ショップサーブは初期費用・月額費用などを公開していません。気になる方は、直接ショップサーブに問い合わせてください。
モール型ネットショップ
ASP型以外に初心者におすすめのネットショップ構築サービスは、モール型です。モール型は、知名度が高く集客力に優れています。そのため、マーケティングの知識・スキルがなくても、ネットショップにお客さまを呼び込めるためです。
以下より、国内大手の3つのモール「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」について解説します。
Amazon
Amazonは、2000年11月に日本でのサービスを開始し、今では国内有数のモールに成長しています。Amazonの発表によると、2022年7月12日(火)~13日(水)に行われたビッグセール「Amazonプライムデー」では、270億円以上を売り上げたそうです。このような、強力な販売力のあるAmazonですが、実は個人でも簡単に商品を出店できます。
Amazonに出店する際の料金プランは、以下の2種類です。
小口料金 | 大口料金 | |
月額料金 | 無料 | 4,900円 |
成約手数料 | 100円/商品 | 無料 |
販売手数料 | 8%~ ※販売カテゴリーにより変動 | 8%~ ※販売カテゴリーにより変動 |
上記の表からもわかるように、1カ月で50商品以上を販売する場合は、大口料金がお得になります。
Amazonの便利な点は、FBAと呼ばれるAmazonの物流システムを使えるサービスがあることです。FBAを利用することで、商品の保管・ピッキング・発送・返送処理などバックヤード業務を一任できます。配送代行手数料・在庫保管手数料など、別途費用が必要となりますが、フロントオフィス業務に集中できるメリットがあります。
楽天市場
2つ目に紹介するモール型ネットショップは楽天市場です。楽天は1億2,700万人と圧倒的な会員数を誇ります。そのため、国内においてネットショップといえば楽天とイメージする方も多いのではないでしょうか。
楽天に出店するためには以下の3つの出店プランがあります。
プラン名 | がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン |
月額出店料 | 月額21,450円 ※年間一括払い | 月額55,000円 ※半年ごとの2回分割払い | 月額110,000円 ※半年ごとの2回分割払い |
システム利用料 | 3.5%~7.0% | 2.0~4.5% | 2.0~4.5% |
登録可能商品数 | 5,000商品 | 20,000商品 | 無制限 |
楽天は集客力に優れている一方で、出店料・システム利用料が割高に設定されています。商品の利益率が高く採算の合う場合は、積極的に出店しましょう。しかし、利益率が低い場合は、採算が合うかを慎重に検討する必要があります。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、モール型ショッピングの中でも珍しい初期費用・月額利用料・売上ロイヤリティが無料です。リスクを抑えてモールに出店できることがYahoo!ショッピングの魅力といえるでしょう。
Yahoo!ショッピングの料金プランは以下の1種類です。
初期費用 | 無料 |
月額システム利用料 | 無料 |
売上ロイヤリティ | 無料 |
決済手数料 | 3.0%~4.48% コンビニ決済:165円~330円 銀行振込決済(ペイジー):165円 |
ストアポイント原資負担 | 1%~15% ※1%は必須 |
キャンペーン原資負担 | 1.5%は必須 |
アフィリエイトパートナー報酬原資 | 1%~50% ※1%は必須 |
アフィリエイト手数料 | アフィリエイトパートナー報酬原資の30% |
注意点としては、売上手数料である売上ロイヤリティは発生しませんが、決済手数料以外にも様々な負担があることです。そのため、実際の費用を計算しにくいのがデメリットになります。
ネットショップ構築サービスの選び方
ネットショップ開業が初めての方におすすめの方法は、ずばり「無料で開業できるサービス」です。
ネットショップを開業するには商品の仕入れや保管場所の確保、Web広告の出稿など費用が必要になります。できる限りリスクを抑えるために、初期費用や月額料金のかからない無料ASPから始めましょう。サイトの規模が大きくなってから有料ASPやモールの出店にチャレンジするのも遅くありません。初心者の方は、スモールビジネスを意識することが成功するための大切なポイントです。
また、ネットショップ運営に慣れてくると必要な機能が明確になるはずです。そのような方がネットショップを新たに構築する場合は、機能性やデザイン性をポイントにしてサービスを選ぶと良いでしょう。
ネットショップ開業の注意点
ネットショップ開業の際の注意点は、必要な届け出・手続きなど関係法規に従い対応する必要があることです。
まずは、開業と聞いて思いつくのは「開業届」でしょう。ネットショップ開業の際に「開業届」の提出は必須ではありませんが、提出しないと「青色申告ができない」「屋号を使えない」ことになります。そのため、ネットショップの運営を考えている方は、開業届の提出をおすすめします。
開業届の提出は費用が発生せず、必要事項を記入して所轄の税務署に提出するだけなので簡単です。下記のページより開業届をダウンロードできます。
開業届以外にも、ネットショップを運営する上で注意が必要なのは、「販売許可が必要な商材」「特定商取引法」「税金の申告」です。これらについて詳しく紹介します。
販売許可が必要な商材がある
ネットショップを運営する上で注意するべき点は、販売する商品・サービスによって販売許可を得る必要があることです。必要な許可を取得せずに販売すると罰則を受けることになりかねません。取り扱う予定の商材が販売許可を必要とするかについては事前に確認してください。
販売許可が必要となる代表的な商材・関連法規は以下のとおりです。
商材 | 関連法規 | 必要な資格・免許 |
食品 | 食品衛生法 | 食品衛生責任者 食品衛生法に基づく営業許可 |
お酒 | 酒税法 | 一般酒類小売業免許 通信販売酒類小売業免許 |
中古品 | 古物営業法 | 古物商許可 |
医薬品 | 医薬品医療機器等法 | 医薬品販売許可 特定販売許可届出 薬局開設許可 登録販売者・薬剤師 |
健康食品 | 食品衛生法 薬機法 医薬品医療機器等法 | 食品衛生責任者 食品衛生法に基づく営業許可 医薬品医療機器等法に基づく許可 |
化粧品 | 薬機法 医薬品医療機器等法 | 化粧品製造業許可 化粧品製造販売業許可 |
この他にもネットショップで販売する際に、許可や免許などが必要な商材も多数あります。必要な条件を満たしているかを必ず確認しましょう。とくに、輸入品を取り扱う際には様々な条約や規制があるため注意が必要です。
特定商取引法を守る
ネットショップで商品を取引することは、「通信販売」に該当します。通信販売をする上で遵守しなければいけないのが「特定商取引法」です。
その「特定商取引法」の第11条では、通信販売を行う際には必ず広告の表示をすることを定めています。そのため、ネットショップを運営する際には、以下の15項目を表示しなければなりません。
- 販売価格
- 代金の支払時期、方法
- 商品の引渡時期
- 申し込みの期間に定めがあるときは、その旨とその内容
- 契約の申し込みの撤回または、解除に関する事項
- 事業者の氏名、住所、電話番号
- 責任者の氏名
- 電話番号
- 販売価格・送料以外に負担すべき金額があれば、その内容と金額
- 商品の種類・品質が契約内容に適合しない場合の販売業者の責任について
- ソフトウェアを取引する場合は、動作環境
- 契約を2回以上継続して締結必要があるときは、その旨と販売条件
- 商品の販売数量の制限、特別な販売条件があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する際に、有料の場合はその金額
- 商業広告を送る場合は、事業者の電子メールアドレス
ネットショップでは、記載が必要な事項をまとめた「特定商取引法に基づく表示」を別ページに用意する方法が一般的です。
税金の申告を忘れずに
ネットショップで商品が売れて利益を得られると必要となるのが、所得税の申告と納税です。1月1日~12月31日までの1年間にネットショップで得られた所得が20万円以上の場合は、副業であっても所得税の納税が必要になります。
例年、2月16日~3月15日と申告期限が決まっていますので、対象となる場合は期限内に必ず白色申告・青色申告をしてください。また、e-Taxなどホームページ上で手続きをする方法もあります。ネットショップを開業する際には、チェックしておくと良いでしょう。
ネットショップを成功させるポイント・コツ
ネットショップを開業すると、あとは成功を目指して日々の業務に励むことでしょう。しかし、間違った努力をしていても、なかなか結果につながりません。そこで、効果的・効率的な運営をするために、ネットショップを成功させる5つのポイント・コツを紹介します。
適切なネットショップ構築サービスを選ぶ
ネットショップを開業する前から、実はネットショップを成功させるためのポイントがあります。それは、適切なネットショップ構築サービスを選ぶことです。
初心者であれば資金がショートするリスクを減らすために、月額料金のかからない無料ASPがおすすめです。また、ネットショップ運営に慣れている方や実績のある方は、費用をかけてでも必要な機能やデザインを追求する方が収益アップにつながります。
このように、資金力や求める性能・売り上げなどに適したネットショップ構築サービスを選ぶことが大切です。
商品ページを丁寧に作る
ネットショップとお客さまの接点は商品ページです。この商品ページの作り方が雑ですと、お客さまは知りたい情報を得られません。すると、他の競合サイトに知りたい情報を確認しにいきます。つまり、商品ページの作りこみが甘いと競合サイトに見込み顧客を奪われてしまうことにもなりかねません。
そのような販売機会の損失がないように、商品ページは丁寧に作る必要があります。商品ごとにターゲットのペルソナを設定して、ペルソナが考えそうな疑問や悩みを解決できる商品ページにしましょう。
集客方法を検討しておく
ネットショップの運営で問題になりやすいのは、集客方法についてです。そのため、ネットショップ開業前から集客方法を検討しておく必要があります。
あらかじめ集客方法を決めておくことで、スムーズに施策ができるはずです。
無料でできる集客方法には、SEO・SNS・ブログなどがあります。しかし、これらの方法は効果がでるのに時間がかかります。そのため、開業直後はWeb広告など費用のかかる集客方法も併用すると良いでしょう。
日次業務でミスをしない
ネットショップを成功させるためには、日次業務でミスをしないことも重要なポイントです。例えば、商品のピッキング作業や発送業務を間違えてしまうとクレームにつながり、対応するために時間を費やすことになります。個人で運営するネットショップであれば、日次業務のミスをフォローするために時間を費やしてしまうと、やるべき作業が滞ってしまうでしょう。すると、事業計画どおりに運営が進まなくなるかもしれません。
日次業務のミスを防ぐためには、チェックリストの作成など予防策を立てることが有効です。
リピーター・ファンを作る
ネットショップで安定した売り上げを確保するためには、リピーターやファンの獲得が欠かせません。なぜなら、定期的に購入してくれるお客さまは、売り上げの底上げにつながるためです。
そのためには、SNSを既存顧客との交流の場として活用する方法が有効です。既存顧客とのコミュニケーションを続けることで、次第にリピーターやファンの獲得につながり運営が安定するでしょう。
ネットショップ開業で成功のポイントは集客方法の計画にあり
ネットショップの開業は、24時間・365日稼働できる店舗を運営することになります。また、国内に限らず世界中のお客さまを相手にできるため、大きなビジネスチャンスを掴むことも可能です。
このような実店舗にはないメリットを生かすためには、本記事で紹介した基礎知識を押さえる必要があります。基礎知識を学ぶことで、ネットショップは開業がゴールではないと理解できるためです。
ネットショップで成功するためのポイントは、無料ASPから始めるなどの「スモールビジネスを意識すること」「開業前から集客方法を計画しておくこと」「リピーター・ファンを増やすこと」です。しっかりとした事業計画を立てることで成功の確率を上げられるでしょう。
また、ネットショップを運営するには商品ページの追加・更新、商品の仕入れ、顧客の対応、在庫管理など様々な業務をこなす必要があります。個人では対応しきれないこともありますので、無理せず外注することも検討しましょう。
プロによる高品質な作業は、ネットショップの成功に貢献してくれるはずです。
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