今回の記事では、Amazonで商品を販売するにあたって押さえておきたいポイントについて、お話したいと思います。
適切な商品選定
以前の記事(以下の記事をご確認ください)でも少し触れましたが、Amazonに限らず、ECモールは競合他社の商品と横並びの状態でユーザーから比較検討されます。
ユーザーが競合商品ではなく、自社の商品を選ぶ必要性の有無や、その多寡で、売上が大きく変わってきます。
当たり前のことかもしれませんが、参入前に市場環境や競合状況をしっかり調査して、そもそも参入するのかしないのか、参入するとしたら自社の商品ラインナップのどれを主軸とし、どのような戦略で販促していくのかを意思決定しましょう。
各社毎に分析のやり方は様々かとは思いますが、1つの方法としてはマーケティングフレームワークの3C分析を起点にすると良いかもしれません。
3C分析とは、以下3つのCについてそれぞれ分析することです。
- Customer(顧客=市場環境)
- Competitor(競合環境)
- Company(自社環境)
これらを分析することで、自社の置かれている環境を外的要因と内的要因の両方から分析でき、より適切・効率的なマーケティング戦略を立てることができるようになります。
市場環境
- 参入を検討している商品のAmazon内の市場規模:
主要なキーワードの検索ボリューム、カテゴリーランキングの相場帯 - 顧客ニーズ:
ユーザーはどんな商品を支持しているか、既存商品の満足している部分、逆に不満を感じている部分はどこか
競合環境
- 競合商品の特徴:機能上の強み/弱み、価格帯など
- 競合商品の戦略:主要な対策キーワード、広告の実施状況など
自社環境
- 商品ラインナップ
- 自社商品の特徴
- 投資能力:どのくらい予算を販促費用として投資できるのか
「自社の既存商品には参入するのに相応しいものがない」という場合は、無理にAmazonでの販売にこだわらず別の販路を検討するか、あるいはAmazonでの販売に適する商品を新たに用意して参入することをおすすめします。
良質な商品ページ
販売していく商品が決まったら、その魅力を適切なユーザーに適切に伝えるための商品ページが必要です。
Amazonでの販売において商品ページの品質は全てのベースとなります。
まずユーザーにとって良質な(クリック率、コンバージョン率の高い)商品/商品ページがあり、それを後述する各種販促機能で露出させることで効果が最大化されます。
十分な情報量
単に商品のスペックや、売り手が推したいことを列挙すれば良いわけではありません。
ユーザーが知りたい情報、自社商品がユーザーに提供できるベネフィット、競合他社よりも優れているポイントなどを訴求し、ユーザーが「この商品を買った方が自分にとってきっと有益だ」と判断するのに必要十分な情報を提供しましょう。
1つの考え方ですが、以下の3点を整理してコンテンツを考えてみると良いかもしれません。
POP (Point Of Parity)
選ばれない理由にならない必要最低項目(他社商品が軒並み備えている基本的な機能や特徴)
POD (Point Of Differende)
選ばれる理由、他社との違い(自社独自の特徴、強み)
POF (Point Of Failure)
選ばれない理由、弱点となる要素(他社にはあって自社にはない要素。自社の弱み)
※POFは捉え方次第でPODになる場合があります。
例:炊飯器
「炊くのに時間がかかる」⇒「じっくりと炊き上げるのでお米ふっくら」
コンテンツを整理できたら、それらをページに掲載します。
テキストだけではなく、画像も用いて視覚的に伝えるようにしましょう。
(スマホアプリでは説明文が見難い位置に配置されているためサブ画像で訴求することが特に重要です)
サブ画像だけで足りない場合は商品紹介コンテンツ(A+)も活用するようにしましょう。
十分なユーザーレビュー
ユーザーレビューの有無は商品ページのコンバージョン率に影響を与えます。
Amazon公式でも、ユーザーが適正な購入判断をするためには少なくとも15件のユーザーレビューが必要であると言われています。
※もちろん多いに越したことはありませんが、実際にはもう少し少なくても問題ないケースが多いように感じます。
Amazonブランド登録をしている出品者はAmazon Vineという、Amazon公式のレビュー依頼サービスを利用することが可能です。
ブランド登録をしていない出品者の場合は、広告などでアクセスを集めながら地道に販売実績を積み、ユーザーレビューを集めましょう。
あるいは自社でメルマガリストがある場合はそれを活用しても良いかもしれません。
※ユーザーにインセンティブを与えてレビューを書いてもらう行為をされているセラーも見受けられますが、Amazonの規約違反になりますので推奨しません。
適切なキーワード設定
Amazonでは商品名、商品仕様(箇条書きやブレッドポイントとも呼ばれます)、検索キーワードの欄に登録されているキーワードが、検索の対象となります。
この中でも検索結果に影響が大きいのが商品名と検索キーワードです。
商品名は全角で80文字程度まで、検索キーワードは160文字前後(ファッションなど一部ジャンルはその約半分)までテキストを入れることが可能です。
手あたり次第に枠いっぱいまでキーワードを詰め込むのではなく優先度を考えて適正な範囲で設定しましょう。
(あまり欲張って関連性の低いワードを詰め込んでもCVRの低下を招くだけであまり有効な結果に繋がらないことが多いです)
必須
ブランド名、商品名、その商品の一般名称や同意表現
例 )iPhoneケース、スマホケース、スマホカバー
重要
必須ワードと併せて検索されている関連ワード(主要な仕様など)
例 )手帳型、革製、リング付き
可能な範囲で
関連ワードのうちサジェストの3語以降に出てくるような抽象度が高いもの(形容詞のようなもの)
例 )かわいい、おしゃれ、人気、丈夫
※優先順位の問題なので、これらが不要という意味ではない。
検索キーワードを選定する際には、ブランド分析(Amazonブランド登録済みのセラーのみ)や検索サジェスト、競合他社のタイトルなどを参考にしましょう。
広告や各種販促機能の活用
良質な商品/商品ページが用意できたら、Amazon内の広告を活用してそれらを露出させ、各種販促機能でその露出効果を最大化させます。
広告
全てのセラーが活用できる基本的なスポンサープロダクト広告以外にも、現在ではブランドストアの露出や動画広告が実施できるスポンサーブランド広告、リマーケティングを含めたオーディエンスでターゲット設定が可能なスポンサーディスプレイ広告など、多くの広告メニューが利用可能です。
※スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告はAmazonブランド登録をしているセラーのみが実施可能です。昨今、Amazonはブランド登録されているセラーの優遇を強めていますので、ブランド登録は極力実施することをおすすめします。
FBA/マケプレプライム
Amazonの倉庫に予め商品を納品しておくことでPrimeマークを取得できます。
Primeマークのついている商品はCVRが向上するほか、検索上も優遇されます。
複数の販路で販売している場合などは在庫オペレーション上の問題もありますが可能であれば極力FBAを利用するようにしましょう。
FBAと同等の配送パフォーマンスを確保できるのであれば、マケプレプライムの設定を行うことで、Amazon倉庫以外から出荷する場合でもPrimeマークを取得することが可能です。
(土日祝日でも即日/翌日発送の体制を確保する必要があります)
クーポン/プロモーション/ポイント
これらは実質的には値引きになるため、実施できる場合とできない場合があると思いますが、設定することで検索結果上での視認性が多少上がるため、可能であれば設定することをおすすめします。
タイムセール
商品の売れ行きがある程度上がってくると、タイムセールに申し込めるようになります。
Amazonは検索順位を決定する際に直近で多く売れている商品をより評価します。
(もちろん、それだけが評価対象ではありませんが)
タイムセールは実施期間中のクリック率やCVRが大きく上昇して瞬間的に販売数が伸びるケースが多いため、検索順位を上げたい商品がある場合などは積極的に活用すると良いでしょう。
商品を販売するとなると「どう広告するか」に目が向いてしまうことが多いですが、それ以上に「何を広告するか」「そもそもユーザーにとって自分たちが提供できる価値は何なのか」をきちんと精査することが非常に重要です。
貴社の商品に当てはめるとそれは何なのか?
よろしければ、一度振り返ってみていただければ幸いです。